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242号 感話 イチロー ICHIROの偉業 -不完全の自覚と出会いのよろこび- [ 令和7年2月1日 ]

寒中お見舞い申し上げます

242号 感話 イチロー ICHIROの偉業 -不完全の自覚と出会いのよろこび-  今年の冬は雪おろしをしないで済みそうです。屋根の上には雪がほとんど残っていません。今シーズン最初の寒波でスキー場には雪が積もり、例年より早くオープンしましたのでそれもよかったと思います。まさに今の自分の都合で感じていることです。青森や北海道の積雪を考えると地球温暖化の影響かもしれません。海水の温度分布も変化していると言われ、新潟県は鮭の不漁が続いています。
 前島町のサイノカミが13日に行われました。これまでは夕方6時からでしたが、4時30分に繰り上げられ、町内の人のお顔が見える中で久しぶりにお会いする方にもご挨拶ができ、サイノカミを楽しませていただきました。「無病息災」「五穀豊穣」を祈願する神事ではありますが、自分の努力や心がけだけではどうにもならないからこそ「祈る」気持ちになります。健康でいたい、災害に見舞われたくない、この一年が穏やかで過ごせますようにと思いました


242号 感話 イチロー ICHIROの偉業 -不完全の自覚と出会いのよろこび-


除夜の鐘

242号 感話 イチロー ICHIROの偉業 -不完全の自覚と出会いのよろこび-  大晦日の仏事「除夜の鐘撞き」では大勢の方々が「正覚大音(しようがくだいおん) 響流十方(こうるじつぽう) 仏法ひろまれ 世の中安穏なれ」を願ってくださいました。恵以真会の役員の方々が雨の中、テントを張り、たき火を焚いてお仏酒を振る舞ってくださいました。この仏事もまた、鐘をついても煩悩がなくなるわけでも、小さくなるわけでもないことを知りつつ、煩悩に煩わされることのない日々を願う気持ちがありました。「ゴーン ゴーン」は「ゴオン ご恩」と聞こえてきました。


令和7年年始門徒総会 ご参拝御礼

242号 感話 イチロー ICHIROの偉業 -不完全の自覚と出会いのよろこび-  お正月にお正信偈をご一緒にご唱和できる喜びを噛みしめつつ、お勤めいたしました。事業報告、会計報告もご承認いただきました。改めて多くの皆様のご懇念で託念寺が護持されていることに感謝し、いつでも誰でも集えるお念仏の道場として役割を果たしていきたいと気持ちを新たにいたしました。
 また、託念寺責任役員および総代の任期満了に伴う、再任についても、ご承認いただきました。責任役員総代堀井善治さん、総代永原英人さん、総代室橋靖裕さんに1月25日より4年任期でご尽力いただくことになりました。よろしくお願いいたします。
 さらに世話方の退任、新任についてご報告いたしました。昨年4月より宮内地区平澤正雄さんに代わり、青柳芳彦さんが、今年1月より上前島地区佐藤節子さんに代わり、青柳角一さんが就任くださいました。平澤さん、佐藤さんには大変お世話になりました。両青柳さんにはどうぞよろしくお願いいたします。



感話 イチロー ICHIROの偉業 -不完全の自覚と出会いのよろこび- 


野茂茂雄の開拓、イチロー、松井秀喜が続いて、今大谷翔平の活躍につながっています。
 イチローは大リーグ19年で、安打:3089 打点:780 本塁打:117 打率:.311 盗塁:509
 8年目を迎える30歳の大谷は、安打:878 打点:567 本塁打:225 打率:.282 盗塁:145
 これに加えて、イチローにはレーザービームと呼ばれた強肩があり、大谷には二刀流があります。
 二人ともすごい成績です。日本人の活躍が誇らしいです。イチローが年間262安打の大リーグ記録を達成した2004年は中越地震のあった年で毎日イチローのヒットのニュースを楽しみにしていたことを思い出します。大リーグ野球殿堂入りがどれほどすごいことなのかは、「プロ野球選手としての評価という意味では比べるものがない」と言い切っていることでわかります。「感謝を伝えたい相手は」と問われ、オリックス時代の仰木監督を挙げ、「出会わなければ、カタカナの『イチロー』にならなかったし、これほどに知られることにもならなかった。」と述べて、人との出会いと運にも恵まれたことを語りました。



242号 感話 イチロー ICHIROの偉業 -不完全の自覚と出会いのよろこび-  記者投票で満票に1票だけ足りなかったことについては「やっぱり不完全であるというのはいいなって、だからまた進もうと思う」と名言を残しました。どうしてこんな言葉がでるのでしょう。あまりにもカッコイイです。私が「不完全は凡夫に通じる」と言えばそんなコメントは要らないと退けられてしまいますね、広島・凡馬さん。
 飛び抜けた活躍をして賞賛されるイチローは私たちとは別格な人間なのだと思いつつも、イチローの言葉に耳を傾けます。真似ができるわけでもなく、イチローのようになりたいと思うわけでもないのに、イチローの言葉に引きつけられます。
 私はどうしてもみ教えに関係づけて共感しようとします。「不完全はいい」というフレーズ。 歎異抄に「さるべき業縁のもよほさば いかなるふるまひもすべし」という言葉があります。天岸浄信さんは「人間はそれなりの縁やきっかけがあれば、何をしでかすかわからない不完全なものです」と訳されています(「65歳からの仏教」より)。「不完全の自覚」に共通のインパクトを感じます。イチローは出会いについてもコメントしています。野球との出会い、仰木監督との出会い、奥様との出会いなどなど。これも親鸞聖人の言葉を引用すれば「たまたま行信を獲ば 遠く宿縁を慶べ」につながりを感じます。天岸さんは「(誰しも自分の人生を)振り返ると、ほんのちょっとのきっかけで、人生は大きく変わったと気づくでしょう」と述べられています。ご縁は不思議で自分の力を超えています。
 自分にいのちがいただけたとき、何者になるか決まっているわけではないし、自分にどんな特性が備わっているのかもわかりません。イチローさんは「大リーグに移籍した当時、(今日の自分を)地球上の一人も想像しなかった」と振り返っておられます。「そもそも野球という存在がなければ、僕は一体何だったのだろう。何者かになれたのかと今日特にそう思います」と。
 どの出会いをとってもその出会いがなければ今の自分はありません。「不完全の自覚」は謙遜でもなく、思いつきの言葉でもない。まさにイチローの努力を支えてきた正直な思いだったのですね。合掌


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