229号 感話:経はわが身を写す鏡なり [ 令和5年12月28日 ]
謹賀新年
令和5年心に残った出来事:
1.WBC準決勝・決勝戦
2.結婚記念日に白馬岳に行ったこと
本年もどうぞよろしくお願いいたします
2024(令和6)年 元旦
託念寺住職・坊守
暖冬の正月
令和6年の元旦は暖冬の中で迎えられそうです。これも異常気象の表れかもしれませんが、冬の心配事は雪の降りようですから、「暖冬」や「少雪」予報は素直に嬉しく思ってしまいます。とりわけお正月に10℃を越えるような暖かさになれば、年始回りもはかどります。
新年を迎えると、過ぎた1年の早さと老いの進行を実感します。自分の身に訪れる老いは誰にとっても初体験です。埼玉に住む孫娘から、お誕生日にプレゼントしたいから欲しいものを教えてと、メールが入りました。なかなか思いつかなかったのですが、5年日記を希望しました。
もうじき終わる令和5年の手帳を振り返ると、1月中旬のページに「今年に入って右手のむくみにしびれが加わった。今日は絶えず弱いしびれを感じ、ある拍子に電気が走るような感じ」と記されていました。前年の年末からしばらく続いて自分なりに心配していましたが、いつの間にかなくなっていました。こんな身体の不調は時々感じます。心配性の割には症状がなくなると、心配したことも忘れてしまいます。季節の移り変わりとともに、2,3年過去を振り返るのは楽しそうです。ほどなくして孫からプレゼントが届きました。令和6年を待ちきれずに私の誕生日から表紙裏の余白ページに書き始めています。孫には「5年日記を書き終えられように、一日一日を大切に過ごしたい」と伝えました
お正月 カレンダーをめくる ワクワク
12月にはたくさんのところからカレンダーが届けられます。製作されている一つひとつがそれぞれ特徴があって、どれも1年かけて私にメッセージを届けようと語りかけているようです。
寺からは年始の折に「法語カレンダー」と「心に響くことば」をお届けいたします。そして日曜法座の中で「今月の法語をあじわう」のタイトルでお話をさせていただきます。法語カレンダーの法語は「すぐに納得」というよりは解説文を読んで、仏典を開いて、ネットで調べて、ようやくお御堂で皆さんと一緒に味わえるようになります。私にとってもまさにご聴聞です。日曜法座に今年も多くの方にお参りいただきたく、よろしくお願い申し上げます。ちなみに「6月のことば」は「いい人 いい雨 いい天気 みんな私中心」とあります。お正月の天気予報、私の気持ちを言い当てていますね。
令和6年の大きな行事は「親鸞聖人立教開宗800年元上組慶讃法要」です。てらだより226号でご紹介した今井雅晴先生のご著書「親鸞聖人の一生」には、親鸞さまが生きられた時代が描かれ、その中でどのような生活をなされたのか、み教えがどのようにして人々の依りどころになったのか、遺されている史料の隙間を埋める試みも積極的になされています。夜は灯明しかなかった時代に、日中は自らの足で布教に出かける日々の中で、どうしてあの教行信証が書き上げられたのか。親鸞さまの実像に迫るお話を楽しみにしています。どうぞご参加ください。4月28日(日) 会場は明鏡寺様です。
感話 経はわが身を写す鏡なり
広島県呉市円福寺様からのナマステ通信No.425 2023年11月号をご紹介します;
ロシアのウクライナ侵攻に終わり見えず、今後の見通しも悲観している中で、イスラエルのガザ侵攻が多くの犠牲者を出し続けています。暴力の応酬が止みません。平和がいかに難しいか思い知らされます。
人間は「世界で一番怖い生きもの」と表現されているように、動物から見たら、武器を使いいのちまで奪ってしまうのですからやむなく従うしかありません。
お釈迦さまは「すべての者は暴力におびえ、すべての者は死をおそれる。己が身をひきくらべて、殺してはならぬ、殺さしめてはならぬ。すべての者は暴力におびえる。すべての生きものにとって生命は愛(いとお)しい。己が身にひきくらべて、殺してはならぬ。殺さしめてはならぬ。」(法句経(ほつくきよう))とおっしゃいました。これまで何度も無益な戦争を繰り返してきているのに、まだ武力に頼るやり方を変えようとしない人間。人間とはこれほどまでに不完全な生きものなのでしょうか。そうだとすれば、せめて「鏡の中の自分の姿に」気づくことからはじめなければなりません。親鸞さまは我が身を「恥ずべし、傷むべし」と嘆かれました。合掌