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207号 感話:人のやさしさ「和顔と愛語」にであう [ 令和4年3月2日 ]

2月の大雪

207号 感話:人のやさしさ「和顔と愛語」にであう  立春を過ぎてから、油断するなといわんばかりに、次々に大雪に見舞われました。その都度空を見上げ、自分の体力をかえりみてため息が漏れます。長岡のこの冬を振り返ってみると、警報級の大雪が何度もありましたが、それぞれに間隔があいて屋根の雪おろしに至りませんでした。それでもじわりじわりと積雪が増えて墓地はこの時期になって1mをはるかに超える雪が積もっています。


冬季オリンピック

207号 感話:人のやさしさ「和顔と愛語」にであう  冬季オリンピックが終わりました。選手の活躍にいくつもの感動を覚えました。北京と時差1時間でしたから、熱戦をライブで見ることができました。ハラハラドキドキ感がオリンピックの醍醐味ですね。私の選んだ名場面は「ノルディック複合団体のゴール前のデッドヒート銅メダル」「スキージャンプ混合複合高梨沙羅選手失格後の諦めない」「女子フィギュアスケートワリエワ選手の転倒4位」でしょうか。
 ワリエワ選手はメダルが取れなくてよかった。見終わったときそう思いました。メダルを取ったらそのことで更に苦しみが深くなるでしょう。2月の法語カレンダー「ふみはずしましたが 気がつけばここも 仏の道でございました」を読み返し、ワリエワ選手は、ふみはずしてしまいましたが、これで人生が終わったわけではないし、終わりになったらいけないと思いました。


勉強するのは「人にやさしく」なるためなんです

207号 感話:人のやさしさ「和顔と愛語」にであう  ちょうどワリエワ選手の報道が新聞紙面を覆っていた日に「19歳のあなたへ 失敗する権利 人間にはある」の記事が私の目に入りました(2月19日朝日新聞多事奏論近藤康太郎)。それは、大学入学共通テストのカンニング問題で「ふみはずした」19歳のあなたに向けての励ましでした。そもそも大学入試の受験勉強に対して、勉強は何のためにするのかを問いかけています。ちょっと引用しましょう:
 そもそも勉強には終わりがなく一生続くもの、勉強は役に立つかどうかもわからない。勉強しない人間は、ちょっとばかり成功すると「自分は特別」と愚かにも思い込む。でも勉強する人は知っている。「人間なんて どっこいどっこいだ。」 取り巻きを1万人以上集めて花見をする権力者も、莫大な費用をかけて宇宙旅行する大金持ちもべつにえらくない。
 つまり、勉強するのは「人にやさしく」なるためなんです。
 野生のけものは失敗できない生き物です。逃げ方をしくじると、天敵に食われてしまいます。失敗は死に直結する。でも人間は一度過ちを犯しても、やり直せるんです。長い年月をかけて、そういう社会を、システムを築いてきたんです。それこそが人間の勉強の成果です。
 人間には失敗する権利がある(人間は失敗してもいいのです。やりなおせるのです)。もう一回頑張りましょうよ。


感話:人のやさしさ「和顔と愛語」にであう

207号 感話:人のやさしさ「和顔と愛語」にであう ロシアのウクライナ侵攻のニュースが繰り返し報じられています。すでに軍事侵攻が始まったとして、外交交渉が棚上げにされ、日本を含めた西側諸国の経済制裁が発表されました。それにしても「なかよくする」ことのなんと難しいことでしょうか。
 経済制裁をする代わりに、親切にしたらどうなるでしょうか。年明けから北朝鮮によるミサイル発射が繰り返されたとき、新潟日報の窓欄にこんな記事が載っていました。「今日本ではお米が余っている。北朝鮮は食糧不足が伝えられている。ならば米どころ新潟県から北朝鮮にお米を贈ったら頑(かたく)なな北朝鮮の心が動かされ、拉致被害者交渉が少しでも前進するのではないか」と。
 争いをなくすために仏法が教えてくれるものは何でしょうか。「縁起:皆つながりあって生きている。」


 先日、大雪の路上で車が雪にはまり動けなくなりました。困りはてたところに大きな親切に救われました。お名前を聞こうとすると「困ったときはお互いさまです」といって立ち去ろうとされました。 若いドライバーさんの「お互いさまです」とおっしゃった笑顔がなんともすごかったです。私には真似が出来ません。この親切をいただいて、ご恩に少しでも報いたいと日報の窓欄に投稿致しました(2月12日)。
 ご近所の小林章栄さんが以前こんなお話しをされました。昔、台風が近づいて急ぎ自分の田んぼの稲架木(はさぎ)の点検に向かう、その途中で既に稲架木が倒れかかって苦労している人を見かけると、放っておけず助けてやる人がいた。今の人は、ますます心配になって、見て見ぬふりをして自分の田んぼに急ぐ。それが普通の姿だと。
 ところがこのドライバーさんはわざわざ応援の人まで連れて私を助けてくださいました。どう考えたらいいのでしょう。「私たちは互いに助け合って生きているのですから当たり前のことをしただけです」とそんなふうに言われた気がしました。この投稿を勧めてくれたのは他ならぬ小林章栄さんでした。私は過去に一回だけ窓欄に投稿したことがありました。そのタイトルが「助け合う風土」でした。この地域の誇りを改めて感じました。合掌


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