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199号 感話:人はみな迷いながら生きている [ 令和3年7月4日 ]

ワクチン接種

199号 感話:人はみな迷いながら生きている  熱海の土石流災害の様子が映像で流れました。大きな被害が出ました。この時期の雨は災害に繋がります。長岡は今のところ梅雨の時期としては晴れ間も比較的多いかなと感じています。
 ワクチン接種が本格的に始まりました。私も坊守も先日第1回目の接種を終えました。長岡市が用意した集団接種会場で、会場と日時を別々に予約しましたが、それぞれにスムーズでした。運営は自治体の状況に合わせて工夫され、当初懸念していたよりも順調に進んでいるように思います。またそれを支えるために多くのスタッフが関わっています。これが全国で行われているのですね。国を挙げての大事業だと改めて思います。
 人は社会生活を営む動物ですから、人流を制限することは自ずと限界があり、感染を抑えるにはワクチンに頼るしかないと多くの人が認識しているのだと思います。それでもさまざまな理由でワクチン接種をしない人、できない人がいます。幸い接種者が一定の割合を超えると集団免疫ができるといわれていますので、接種しない人がいても安心していいのかなと思います。接種しない人が肩身の狭い思いをすることは避けなければなりません。
 新潟県ではかなり感染者が減っています。それでもいつになれば、これまでの日常に近い活動ができるのでしょうか。お盆時期や夏休みの過ごし方は迷うところです。私ども託念寺の夏期行事の進め方について、役員会議等で協議する予定になっていますが、盆参については今回のお便りでお知らせ致します。右に示しましたように昨年と同様に2日に分けてお勤め致します。前島地区とそれ以外の大まかな分け方をしましたが、皆様のご都合を優先してください。託念寺の盆参はお斎の夏野菜の天ぷらが好評で喜んでいただいてきましたが、来年はできると信じて今年も断念致しました。


慶喜?!

199号 感話:人はみな迷いながら生きている 何と読みますか。大河ドラマ「晴天を衝(つ)け」を見ている人は即座に「よしのぶ」と答えますね。お正信偈をお勤めした後ならば、「きょうき」とスッと出てくるかもしれません。「獲信見敬大慶喜」。徳川15代将軍は、江戸幕府最後の名将として、いい名前がつけられてると喜んでいます。託念寺のお御堂には昔から「聞其名号信心歓喜」という書額が掲げられています。「慶喜」「歓喜」はみな「よろこぶ」と読みますが、どんなふうに使い分けられているのでしょうか。ちなみに「悦」も「よろこぶ」と訓読みします。私たちの喜びにはいろんな背景があります。親鸞さまは、「歓喜」は未来において必ず実現すると決定したことをよろこぶという意味、「慶喜」は現在においてすでにわが身に実現しているとよろこぶときと、使い分けておられるそうです。教行信証の序文には、「慶ばしい哉」と前置きして、仏法にあいがたくして遇えたよろこびが記されています。「人身受けがたし、今すでに受く。仏法聞きがたし、今すでに聞く(礼讃文」を共々に慶びたいと思います。


感話 人はみな迷いながら生きている 

199号 感話:人はみな迷いながら生きている  東京オリンピック・パラリンピックが近づいています。開催が決定された今、コロナウイルスの再拡大が起きないようにと祈るような気持ちになっています。出場が決まった競技もありますが、今最終選考が行われている陸上競技はさまざまな人間ドラマを見ている思いでテレビ応援をしていました。男子100mでは多田修平選手が優勝インタビューで涙を拭っていました。3位以内に入れなかった桐生祥秀選手は内定が取れず、オリンピック出場は微妙な状況だそうです。
 女子の800mでは、新潟県から広田有紀選手が出場して僅差の2位になりました。医師になるための研修を先延ばしして東京オリンピックを目指す最後の挑戦は、県内のメディアでは何度も紹介されてきました。決勝のレースではゴール直前で本命と目(もく)されていた選手に抜き去られ、テレビの前で思わず「あぁ」と声が出てしまいました。でもこの大舞台で「自己ベスト更新」と聞いて、すごい選手だなと深い敬意を覚えました。翌日の新潟日報ではスポーツ欄だけでなく社会欄でも健闘をたたえる記事が大きな紙面で掲載されました。コロナ禍で医療従事者が大変な思いをしている中で、自分がこんなことをしていいのだろうかと迷い、その上、故障との闘いで思うような結果も残せない中で、どうしてここまで自分を高めることができたのでしょうか。彼女が「私が頑張ることで医療の現場で献身的な努力をされている人に勇気を与えることができるかもしれない」と語ったことばが思い出されました。間違いなく多くの人に大きなパワーをもたらしたと思います。


199号 感話:人はみな迷いながら生きている  コロナ禍で大きな岐路に立たされている人も少なくないと思います。これまで経験したことのないような迷いに追い込まれているかもしれません。広田選手のようにそれを超えられた人もいますが、大相撲の朝乃山は逆の状況になってしまいました。土俵上でうまく結果が出せなかったことが、どれほどのストレスになるのか私には容易に推し量ることはできません。「大関に上がるまでのあの勢いはどうしたのでしょうね」と言われただけでうつむき姿勢になってしまいます。きっとストレス発散も必要だったのです。厳しい処分を受けて朝乃山は今どんな思いでいるでしょうか。場所中の夜の外出を問われたあのとき、どうして正直に本当のことを言えなかったのかと悔やんでいることを多くの人が知っています。1年後に復帰してくれることを心から応援している人がいます。人はみんな迷いの中で生きているのですから。合掌


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