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196号 感話:「人のために」というけれど その前に「ありがとう」がありました [ 令和3年4月7日 ]

こんなにおおきくなったよ

196号 感話:「人のために」というけれど その前に「ありがとう」がありました 3月には、卒園、卒業、退職などさまざまな節目がありました。前川こども園では「れんげ卒園特集号」の冊子を作成します。今年の卒園児は42名です。総ページは優に100ページを超えて分厚い冊子に仕上がっています。私は卒園式のお念珠授与の中で祝辞を述べさせてもらいました。「卒園特集号は分厚くて立派な本です。みんなの夢と、ママ、パパの思いや願い、そして先生方の愛情がたっぷり詰まっています。きっと一人ひとりを思い浮かべ、涙を何度も拭(ぬぐ)いながら書かれたものです。宝物です。みんなが大きくなるまで大切にしてください。大きくなったとき、読んで下さい。おうちの方は、行き詰まったとき、つらいときそっと開いて下さい。必ず元気がもらえます。」
 その前日、前川小学校の卒業式を終えたかつての卒園児が卒業報告に訪れました。4月からの中学校の制服に身を包み、仏さまの前で「こんなに大きくなりました」と感謝の報告をしました。
 今年卒園児が思い出発表で歌った「おおきくなったよ」の歌詞には、「きょうは ないちゃってもいいかな 生まれてきてよかったと こころからおもえるから」とありました。人生の節目節目に「生まれてきてよかった」と言えたらいいと私も心からそう思いました。


家族礼拝の御礼

196号 感話:「人のために」というけれど その前に「ありがとう」がありました いいかったです。佐藤眞知子さんの語りに引き込まれ、タイムスリップして昔の暮らしがまぶたに思い起こされました。鮭女房は郷土史「前川のあゆみ」のなかで上前島町の青柳幸次郎さんの語りとして掲載されています。これを読み返すと佐藤眞知子さんの声で蘇(よみがえ)ってきます。ちょっとショウシクなる(赤面する)ような場面も笑いが生まれ、鮭の哀しい恩返しの結末に「いきがポーン」とさけました。むかし話の語り聞かせは落語と同じように娯楽だったのですね。お孫さんとご一緒された方は「ひいじいさん、ひいばあさんの語り口と重ね合わせてくれたみたいだけど、どれくらいわっかったろか」と消えゆく地域のことばを懐かしみ、その見事な話芸に拍手を送られました。佐藤眞知子さん、ありがとうございました。


感話:「人のために」というけれど その前に「ありがとう」がありました

196号 感話:「人のために」というけれど その前に「ありがとう」がありました 新年度が始まってもコロナウイルス感染の収束は先が見えていません。お仕事の中には持ちこたえられない状況の方も少なくないと思われます。どうしても気持ちが下向きになります。そんな中で目にした「シルバー川柳」(みやうち地区福祉だより令和3年3月号)です。詠み人知らずになっていますが、この地域には文化人がなんと多いことか。シルバーの存在なくして世の中は成り立ちませんね。


196号 感話:「人のために」というけれど その前に「ありがとう」がありました  東日本大震災から10年。今年はさまざまな特集番組が組まれて、被災された方々の今が映し出されていました。そのひとつ、「ありがとうを3.11に伝えよう委員会」(NHK総合3月13日(土)19:30~20:43)では、宮城県気仙沼市の被災した人たちのいくつもの「ありがとう」の物語が紹介されました。
 20代の男性は津波が身に迫っている中、避難を呼びかける消防団員に「はやく逃げなさい」のひと言で命が救われたと、その消防団員の消息が未だ分からないままに感謝の言葉が綴られていました。「このことが私の人生を動かしました。人のために自分ができる仕事につきたい」と。
 ごく身近な人への「ありがとう」も心を打ちます。最後にありがとうを伝えた女性は、家族4人で逃げる途中、一緒にいたはずの夫と赤ちゃんを失ってしまいました。沈み込んだままの自分を静かに支え続けた母親に、家族を見失ったその現場に案内して、やっと「ありがとう」の言葉を伝えることができました。身近な人だからこそなかなか言えなかった「ありがとう」でした。
 「復興」とは何かを問いかけられたようにも思いました。街並みが整備されて表面上の復興は遂げたように見えても、失われて戻ってこない人にとっては復興は遠いところにあるままかもしれません。それでも生きていかなければならなかった10年がそこにありました。。
 「人のために何かしたいと大上段に構えてしまうけれど、そうではなくて自分が今までもらった『ありがとう』を少しずつでもお返ししていけたらいいんだね」と番組を見終えて連れ合いは言いました。そして「ありがとう」を伝えることは恩返しの第一歩かもしれないと思いました。合掌


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