188号 感話:ひとの生をうくるはかたく やがて死すべきものの いま生命あるはありがたし [ 令和2年7月29日 ]
令和2年7月豪雨の爪痕
7月3日から熊本県ではじまった豪雨は九州全体に広がり、そして岐阜県長野県にも移って被害をもたらしました。特に最初に報じられた球磨川の映像は濁流の量と勢いがすさまじく、多くの死者、家屋崩壊、農地の浸水、生活パイプラインの損傷とその被害は甚大で計りしれません。そして今なお復旧作業が難航していると報じています。
球磨川の中流域に位置する人吉盆地は、江戸時代に浄土真宗禁制のもと「隠れ念仏」で信仰を守ってきたことで知られ、このたびの豪雨で本願寺人吉別院はじめ浄土真宗寺院と多くのご門徒が被災されました。極楽寺(小千谷)ご住職へは熊本教区球磨組から「人吉・球磨水害救済金募集」の依頼が届き、元上組として緊急に救済金を送ることになりました。お盆の期間、本堂のお賽銭箱にて浄財を募りますのでご協力下さい。
写真:人吉別院 本願寺新報7月20日号から
感話:ひとの生をうくるはかたく やがて死すべきものの いま生命あるはありがたし 法句経
6月に緊急事態宣言が解除されたことを受けて「いずれ第2波が来るから警戒を緩めないで」とメッセージが発せられながらも私たちに安心感が広まりました。そしてスポーツや芸術あるいはさまざまなイベントも再開されました。私はスポーツ観戦が好きで、観客が制限されているとはいえ熱い応援の中で真剣勝負をする選手の活躍に一喜一憂しています。朝刊をスポーツ欄から開く楽しみが戻ってきて喜んでおりました。大げさに言えば一日の生活に張り合いをもたせてもらっています。
わが家の生活では、埼玉に住んでいる孫達の成長を楽しみにし、年に数回の旅行や私どもの家に泊まりに来てくれることを心待ちにしていました。7月の連休は一緒に過ごす計画がありました。末の孫娘は9歳の誕生日と重なり、誕生日プレゼントをアレコレ私たちに打診していました。ところが7月に入り徐々に首都圏の感染拡大が報じられ、私たちの計画に黄色信号がともり、ついに断念を伝えるところとなりました。ラインを使ってテレビ電話に映った孫の表情はいつもとまるでちがって元気がなく沈んでいました。 「たった今大泣きしたの」と娘から伝えられ、私たちまでがもらい泣きしそうになりました。3人の孫一人ずつと宅配便を送る約束をしてなぐさめました。残念でもあり、愛(いと)おしくもありました。こんな一コマを恥ずかしさを覚えつつ、ご紹介いたしました。皆さんのそれぞれのご家庭でも、「うちはねぇ」といくつもの語りが聞こえてきそうです。なんともやっかいな見えざる感染症の現実です。
先月の法語カレンダーは「人間は死を抱いて生まれ、死をかかえて成長する」でした。生まれたものは必ず死のときを迎えなければなりません。なのに「死の縁無量」といわれるようにひとり一人みな違っていて思い通りにならないことが共通しています。本当は新型コロナウイルスだけが怖いのではありません。「心に響くことば」7月の法話に、末期ガンの患者さんとそれをお世話する若者のやりとりが載っています。「どうして明るい表情で過ごせるのですか。」の問いに「明日死ぬかもしれないという意味では私もあなたも変わらんでしょ。」「自分のいのちは今日限りと思って一日過ごしてみて。今日は、今生最後のご縁と思うべし」と答えました。若者はいろいろ考えます。この人に今日が最後なら一番伝えたいことを話さなければならない。たどり着いた答えは「ありがとう」でした。
コロナ感染症の怖さは、いのちの最期に感謝のことばを伝えられないことかもしれません。自分の人生を振り返り「あなたに出会えてよかった」と伝えたい。葬儀では多くの人とその思いを共にしたい。合掌
境内草取りご協力ありがとうございました
7月25日(土)は小雨の中、境内草取りに大勢の方々のご参加をいただきました。梅雨明けしている頃と見込んで設定されたのに、生憎(あいにく)の雨。去年は草取りが終わるのを待っていたかのように強い雨が降りましたが、今年は終わったところで雨があがりました。お陰さまできれいになって盆参を迎えることができます。恵以真会の皆様はじめご協力ありがとうございました。