181号 感話:歎異抄を声で読み耳で聞く [ 平成32年1月6日 ]
謹賀新年
新しい年を迎えました。
昨年は大変お世話になりました。今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
悲しみの深さのなかに
真のよろこびがある 令和2年「心に響くことば」より
写真は関ハナさんよりいただいた門松と子年の木目込みです。
「子どもたちの笑顔のために募金」
ご報告と御礼
12月10日 金額:67,345円
日曜法座等でのお賽銭をお届けいたしました。
届け先:本願寺派重点プロジェクト推進室
終い講御礼
日曜法座は1年を通じて大勢の方々からお参りいただき、22日には感謝の終い講を開催しました。
お赤飯に豚汁そしてお持ち寄りのお漬け物をおいしくいただきました。ビンゴゲームも3年目で要領よく進み、楽しんでいただきました。景品は今年も百円ショップで取り揃えましたが、商品の多様さと百円の価値に改めて驚きました。つい自分用の買い物も楽しんでしまいました。今は三百円ショップが人気とのこと、どんな商品が並んでいるのでしょうか。長岡にもあるのですか。
終い講では「年をとるってどんなこと」という歌を「もしもしカメよカメさんよ」の替え歌で歌いました。こんな歌詞もありました;「年をとるってどんなこと 腰が曲がるというけれど お世話になった人々に 感謝感謝の姿です」。耳も次第に遠くなり、忘れっぽくもなりますが、これもまた老いを生きるにはちょうどいいかもしれません。
写真は12月30日 本堂仏具磨きの様子です。
稲川明雄さん(河井継之助記念館館長)を悼む
12月12日に亡くなられました。その1週間前「峠 最後のサムライ」映画化記念講演会でお話をお聞きしたばかりでした。冒頭「数日前に薬を飲み違えて、それから体調が悪いのです。講演途中でひっくり返ったら勘弁してください」とジョーク(そのときは思いました)を言われ、和やかな雰囲気を場内に作られました。お話もいつもと変わることなく歴史上の人物や地名、出来事が次々に出て、すごいなと思いながら聞いていました。本当は本当にかなり体調が悪かったのですね。去年の11月には「最後のサムライと前川郷について」前島町集落センターで講演をしていただきました。ご多忙の中を稲川さんは快く応じてくださいました。前川地区にはたくさんの稲川明雄ファンがいました。残念でなりません。
私は、長岡ケーブルテレビの「中越寺院散歩 ふるさと発見」などの番組で何度も取材してもらいました。託念寺のことも前川保育園のことも映像に納めていただき楽しませてもらいました。収録後にいただいたDVDやサイン入りのご著書などは宝物となりました。心より感謝しお悔やみ申し上げます。
写真:ゆく年くる年 除夜の鐘が終わると本堂屋根がうっすら雪に覆われました。
中村哲さんの志し
お名前もペシャワール会のことも知っていましたが、そのお仕事や活動については今回の事件で改めて聞かされました。ご自身はキリスト教徒でありながら、イスラム教の国であるパキスタン、アフガニスタンに赴いて命を守る活動を永年続けられました。中村哲さんが、座右の銘として「照一隅(天台宗を開かれた最澄のことばで、一隅を照らすもの これ即ち国の宝なり)」と色紙に書かれている様子がテレビで紹介されました。中村哲さんの志しを支えていたものは何だったのでしょうか。アフガニスタンでの命を守る活動についてもっと知りたいと思いました。日曜法座でDVDを視聴します。
感話 歎異抄を声で読み耳で聞く
稲川明雄さん最後のご講演で、司馬遼太郎さんの河井継之助と長岡への思いを語られました。司馬さんのお陰で長岡の人が自信を持って河井継之助を郷土の偉人として誇れるようになったのだと。司馬遼太郎という日本を代表する歴史小説家が、何故、当時それほど世に知られた存在ではなかった河井継之助を主人公とした長編小説「峠」を書こうとしたのか。河井継之助のどこに惹かれたのだろうか。今年秋に公開される映画「峠 最後のサムライ」を待ち遠しく思います。
そんな折たまたま私の書棚にあった「司馬遼太郎と宗教(朝日新聞出版 2017)」という本が目にとまりました。司馬さんは軍隊時代戦地で歎異抄を肌身離さずに持っていました。心の支えにしていた本でした。しかし最初から惹きつけられたわけではありません。「歎異抄は単純な書き方です。物足りない感じがして、これではおれは救われないと感じていました。ところがある日音読してみると、親鸞のリズム、唯円の心の高鳴りが伝わってきた。頭で感じず、心で感じる。宗教はこれだなと思いました。」
元上組で学習会「み教えに学ぶ集い」を続けています。前門主様のご著書「今に生かされて」の輪読が終わり、次のテーマは「歎異抄」に決まりました。歎異抄は400字詰め原稿用紙にして30枚程度にもかかわらず、いつの時代でも関心が高く、解説本や自分にとっての味わい方などさまざまに著書が発行されています。 歎異抄の序には、「耳の底に留むるところ、いささかこれをしるす」とあります。「歎異抄は、唯円が直接聞いた親鸞聖人の生の声が息づいています。できれば声に出して読んでもらいたいと思います(釈徹宗著「仏にわが身をゆだねよ」NHK出版2019)。
これまでも何回も読んでいて概略は分かった気になっていますが、今の時代、私の年齢になって、もう一度じっくりと「声で読み」「耳で聞き直す」のも悪くないと思っています。司馬遼太郎の親鸞観も学びながら、私にとっての歎異抄が語られたらいいと思います。合掌