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141号 感話:真敷祐弘先生のご法話 [ 平成28年9月11日 ]

稲刈りが始まりました。

 朝晩は少し涼しさを感じますが、日中は暑い日が続いています。田んぼは例年よりもちょっとだけ早く早生(わせ)品種の稲刈りが始まりました。夏がもうじき終わるという寂しさも感じます。
 食べものが美味しくなる秋を前に、健康診断結果が届けられました。今年の結果だけでなく、過去3年分を並べて数値が示されています。私の個人情報ですが、身長、体重、腹囲を公開しましょう。身長は、2年間で12mm低くなり、体重は、2.3kg増え、当然のことながら腹囲は4cmも膨らみました。そしてそれが血中脂質、糖代謝に反映されて「保健指導」を示す*印がつけられました。ドキッとして生活を振り返り対策を考えました。運動量は確実に減っています。甘いものは大好きでついいただいてしまいます。対策は自(おの)ずと明らかです。実行あるのみです。来年の今ごろ1年後の成果を報告いたします。


リオオリンピックの感動

オリンピックで日本選手が活躍すると普段あまり見ない競技まで夢中になって応援します。卓球は今回の活躍で注目が集まりました。敏捷性やラリーの応酬に驚嘆しました。レスリングはルールも知らないままに残り数秒の大逆転に歓喜した人も多かったことでしょう。「快挙」の文字が躍りましたが、中でも陸上男子400mリレーは信じられないような光景でした。実況(ライブ)で見ていました。決勝の舞台で第4走者にバトンが渡ったときほんの一瞬日本がトップに躍り出たのです。まさかと思い、そしてゴール直前では「ガンバレ!抜かれるな」と必死に応援しました。奇跡のような出来事です。銀メダルが決まったとき4人の選手の、共に健闘をたたえ合い喜び合う姿が、感動をさらに高めてくれました。
 メダルを取った後のインタビューでは必ずと言っていいほど「多くの方々に支えられて感謝しています」と答えます。金メダル1号となった萩野公介選手は「初めてこころの底から自分だけの力では勝てなかったことが分かりました」と涙ながらに答えていました。誰よりも努力したであろうメダリストだからなおのこと心に響きました。今回のオリンピックほどチームワークでたたかう競技での活躍が目立ったことはありません。一緒に抱き合って喜ぶ姿は、応援している人も巻き込んで更に大きな喜びの輪となって広がっていったように思いました。
 最後に、日本中が盛り上がった大会でしたが、オリンピックは国威発揚の場ではありません。8月23日付の新潟日報日報抄では「その勢いのままに、東京へと突き進んでもらいたい。ただし、おもてなし側としては、日の丸にこだわるまい。国境を超え、地球という大きな丸でとらえたい。胸が高鳴ってくる。」と結んでいました。そうであって欲しいと強く思いました。


感話 真敷祐弘先生のご法話

141号 感話:真敷祐弘先生のご法話  真敷先生が8月10日に御往生されました。父(前住職)の代から二代にわたってお世話になりましたので私も多くのご門徒さんもお育てをいただきました。心から感謝の意を表します。
 今年4月19日にお取越し報恩講にご出講いただいたばかりでした。そのご法話を紹介いたします;
 「前住職は踊り上戸(じょうご)」と語り始められました。最初にご自身のご病気のことをお話しされました。3年前に癌を発症して、今度は右手の親指の付け根に癌が転移したことが分かった。腫れて痛い、何だろうと思っていたが、癌だとのこと。こんな所への転移は日赤病院でも珍しい。癌を告知されるのは辛いが告知する側も辛いと自分が体験して思った。告知する先生の人間性が試される場でもある。告知される側のことを思いやってどのように伝えるか、辛いお仕事である。よいことを共に喜ぶことはまだいいが、辛いことを告げるのは苦しい。家族が苦悩することに代わって先生がされるのだ。


141号 感話:真敷祐弘先生のご法話  託念てらだより137号(平成28年5月)でご紹介した父の戦争体験をお話になる前に、ご自坊ご門徒さんのことをお話されました;海軍会や陸軍会など戦争で生き残った者たちで作る戦友会がある。そのご門徒さんも毎年楽しみにして出かけていた。ある年からもう出かけるのはやめたとおっしゃった。酒を飲んで話をしていつも最後は手柄話、武勇伝であったりする。自分もそうであったが、それがどうにもこうにもイヤになったといわれるのである。戦争では人には語れないことをたくさん見聞きしているのに、結局口にするのは自慢話なのかと自分が情けなくなられたのでしょう。
 そして初めてお聞きする父の戦争への思いをお話しくださいました。私にとって貴重なお話しでした。
 真敷祐弘先生が「信じて歩まれたお念仏の道」を、私もお訪ねしていきたいと思います。 合掌


 雲外寺ご住職様のご許可をいただいてご会葬御礼をご紹介いたします。


平成28年9月4日 日曜法座 法話:「とと姉ちゃんの魅力」

 戦後ものがなにもなかった時代には生まれていないが私が物心着いた頃、テレビや洗濯機がはじめて我が家に入ったときのことを覚えています。テレビは17インチの当時としては大型テレビで昭和33年だったでしょうか。10万円のものが教育テレビという名目で免税され6万円だったと聞かされました。皇太子さまご成婚のときは当時のお御堂におかれ、近隣の人で満堂になったことを覚えています。月光仮面や相撲、プロ野球の放送が人気がありました。洗濯機は洗った後のローラー式のしぼり器に感動して、せんべいのようになった洗濯物を乾いていると勘違いしました。
 私が結婚した昭和52年にもまだ「暮しの手帖」は人気の雑誌で、結婚記念に1年分の購読券を送ることが流行りでもありました。そのころも商品試験が「売り」でした。「暮しの手帖」はいつその役割を終えたのか分かりませんが、最後まで庶民の暮らしの味方でした。
 いつの時でもNHKの朝の連ドラは、登場人物の周りでいじわるをしたり、攻撃をしたりする「悪役」が出てくるのですが、最後は主人公によって次第に「よい人」に転じられていくのです。トースターの商品試験が取り上げられました。粗悪品だと酷評された小規模メーカーの社長が怒鳴り込みます。こんな事を書かれたら自分たちの会社はつぶれてしまうと。主人公常子は庶民のためといいながら、誰かの暮らしを奪ってしまう現実に悩みます。常子は庶民の生活向上を願いながら、暮らしを奪ってしまいそうになっている人の暮らしをどうにか守る道はないかと奮闘し、なんとか困難を乗り越えました。ドラマを見て私たちがホッとするところです。
 人の幸せを願うこと、人が喜んでくれることが自分の幸せにつながっていること、人を苦しめてしまったら、自分もそれ以上の苦しみにさらされることを、私たち視聴者に物語として示してくれています。
 こんな生き方を自利利他円満というのでしょう。菩薩の姿です。しかし現実はよかれと思ってやったことが人を窮地に追いやることもあるのです。あと4週間です。極悪(ゴクワル)の「アカバネ電気社長」がどのように転じられていくのか楽しみにしたいと思います。


平成28年9月11 日曜法座 法話 :「今月の法語を味わう」

141号 感話:真敷祐弘先生のご法話 9月の法語: 一生悪を造るとも 弘誓に値(あ)いて 救わるる

? 帰入功徳大宝海 必獲入大会衆数
  ほとけのみ名に帰してこそ 浄土の聖衆のかずに入れ
? 得至蓮華蔵世界 即証真如法性身
    蓮華の国に生まれては 真如のさとりひらきてぞ
? 遊煩悩林現神通 入生死園示応化
  生死の薗にかえりきて まよえる人を救うなり
?この世で正定聚(お浄土に生まれることが定まる)の仲間入りをさせていただく
?お浄土に生まれると たちまちにして仏の身となる (往相)
?仏になると 今度は煩悩の林(この世)に還り来て 衆生を救う(還相)

 写真は、門徒会処に置いている衝立です。「何と書かれているのですか」と時々尋ねられます。「遊煩悩林現神通」ですとまでは答えられますが、その意味はすぐに答えられませんでした。特に「遊」が大きく書かれていて印象に残ります。誰が書いたのかも分かりません。どうしてこの一節が選ばれ、遊ぶがクローズアップされたのでしょうか。

「一生悪を造る」とは、私たちがこの世で生きている限り、煩悩が無くならないということです。煩悩は、欲と怒りと愚さですが、これこそ生きている証拠のようなものです。喜怒哀楽があるから人生は楽しいのだという解釈もあります。
 人は老います。煩悩はますます盛んです。ちょっとしたことで怒り腹を立てます。
 自分が動けなくなって人の世話になることが多くなるのに、世話をしてもらっていることに感謝するよりは思うようにならない現実に腹を立てることが多くなります。いろんな人に迷惑をかけているのでしょうね。


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