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134号 感話:ふしぎなともだち [ 平成28年2月5日 ]

年始総会の御礼

134号 感話:ふしぎなともだち 例年になく雪の少ない1月と思っていたら、先日は1日(いちにち)で64cmの降雪を記録する大雪。そして3日後には気温が上がって雨。これも異常気象なのでしょうか。
 1月2日の年始総会にはたくさんの方々とご一緒にお正信偈をお勤めすることができました。総代吉原勉さんのご挨拶にありましたように、今年は10月から本願寺にて第25代専如門主 伝灯奉告法要が始まります。元上組は来年3月14日の団体参拝が決まっております。今後随時団体参拝旅行についてご案内いたしますのでどうぞご協力のほどお願いします。

 長岡で大雪だった24日から京都に出かけておりました。本願寺保育連盟の講習会でした。26日は6時から阿弥陀堂、御影堂でお勤めがありました。放射冷却でマイナス4℃の中、長岡の雪を案じながら寒さをこらえておりました。


「ファースト ペンギン」としての親鸞聖人

134号 感話:ふしぎなともだち  朝ドラ「あさが来た」をご覧になっておられる方も多いと思います。明治初期の大阪商工会の立役者五代友厚が亡くなってしまいましたね。彼が発した英語の発音「First Penguin」がかっこいいのです。時代の変わり目にはいつも偉大な「ファースト ペンギン」がいました。ペンギンは群れで行動しますが、危険がいっぱいの海にまず勇気ある一羽が飛び込むのだそうです。不敬の誤解を生むかもしれませんが、堂々と妻帯し、家庭を持ってお坊さんの道を開かれた親鸞さまはまさに「ファースト ペンギン」でした。現代では禅宗であっても家庭を持つことがむしろ自然な姿になっています。在家仏教といいます。出家に対して在家です。家族を持つことで出遇う苦悩があります。親鸞さまは80歳を過ぎてご長男善鸞さまを義絶しなければならない悲しみに遇われました。しかし後世のものからすれば、この事件によって多くの著作が残されることになり、人の世で悩まれる親鸞さまの生きざまに触れることになったのでした。



感話:ふしぎなともだち

134号 感話:ふしぎなともだち 市内の保育士養成の専門学校で「障がい児保育」を担当させてもらっていました。障がいを理解することは容易なことではありません。「自閉症」もその名称から「自分の殻に閉じこもっている」ように受けとめられることがあります。私どもの保育園では2月の月間テーマとしては「おやくそくやルールの大切さを知り、一緒に遊ぶ楽しさを味わう」を掲げていますが、「自閉症」の子どもにとってはとりわけむずかしいことでもあります。私が講義で扱った絵本「ふしぎなともだち」(田島征彦作 くもん出版)を紹介しましょう。
 3年生になったある日のこと;
 いつまでも ぶらんこを やめない やっくんに、ぼくは いらいらした。
「教室へ 帰ろうよ!」 ぶらんこを むりにとめて やっくんを引っ張ったら、
「ぎゃあぁー」と、ものすごい 声を上げて 走りだした。
心配して 学校にきていた やっくんのお母さんも 走った。
やっくんは まっすぐ走る。 まっすぐ まっすぐ・・・・。 やっくんは海へ走り込んだ。
お母さんも 海へ飛び込んで、やっくんを だきとめた。
「この子が 何を考えているのか わからないの。 これから大きくなったら どうなるんだろう!」 海の中で、やっくんと お母さんが大きな声をあげて泣いている。


134号 感話:ふしぎなともだち  6年生をおくる会では、内田先生がみんなの前であいさつをした。
「みなさん、ずいぶん りっぱになられましたね。やっくんも 1年生の頃をおもうと しっかりされて、いい子に成長され・・・」 先生は声をつまらせた。
 そこへ やっくんが 飛び出してきて、先生の手を にぎった。
「うちだはなこ先生 はい おしまい。 うちだはなこ先生 はい おしまい。」
 やっくんの お母さんと お父さんも ないていた。
 ぼくたちは おとなになって この島で 働きはじめた。
やっくんは 町の作業所でメール便の配達。 ぼくは郵便局で勤めることになった。
図書館へ郵便配達に行って、やっくんと出会った。
「とけい なるか、 とけい ボンボン なるか、 とけい・・・」
「こら、しずかに せい! しずかに せんか!」 図書館にきていた人が やっくんに怒鳴った。
しかられても、やっくんは 返事ができず、言われたことを繰り返すだけ。
「しずかにせい! しずかにせい! しずかに」
「こらぁ! ひとをばかにするのか」
やっくんは 自分の手首をかんでいる。ずいぶん辛い思いをしているんだろうな。
 その日は、風が強かった。 バイクの後ろの箱から、手紙が飛んでいった。
田んぼの中を、泥にまみれて さがしまわった。
泥のついた 封筒を 泣きながら ふいた。
みんなから怒鳴りつけられて なさけなかった。
外へ飛び出したら、
「おおた ゆうすけくん はい おしまい。
  おおた ゆうすけくん はい おしまい。」
 やっくんが いつのまにか ぼくの後ろにいた。
 ことばで はなしができないのに、
心がわかりあえる。やっくんはぼくの不思議な友だちだ。


「前川のあゆみ」 新潟日報掲載

134号 感話:ふしぎなともだち 1月23日(土)の新潟日報に大きく掲載されました。
写真も大きく。これほど大きく掲載されることは滅多にないので嬉しいことでした。
見たよとメールをいただいたり、電話もいただきました。新潟にお住まいの方が、本を注文してくださいました。
新潟日報の力です。


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