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129号 感話:仏教を知りたい [ 平成27年9月6日 ]

夏を振り返る

129号 感話:仏教を知りたい  暑い夏が終わろうとしています。この時期になると涼しさにホッとするのに夏を惜しむ気持ちにもなります。 8月を振り返ってみると、一日は託念寺盆参。暑い日でしたが大勢の方にお参りいただきました。暁天法座では長岡市立南中学校制作のDVDで七里アイさんのことばを改めて遺言として聞くことができました。お墓参りはお花がたくさん供えられました。墓前でお一人おひとりが手を合わせて思い浮かべたお顔は、どれくらいあったのでしょうか。振り返れば皆有り難いご縁でありました。
 14日は奇跡の盆踊り大会でした。それまでの猛暑が前日で終わり朝から雨が降っていました。天気予報を何度確認しても好転せず、それでも集まったスタッフの表情は、恵以真会長の「やりましょう」の言葉を待っていました。入念に雨対策をして準備ができあがった頃、西の空から晴れ間が見えてきたのです。そして盆踊りの最後まで。熱い願いがお天気に届いたようなそんな気持ちになりました。


収束焼夷弾の脅威

129号 感話:仏教を知りたい  長岡空襲でB29により投下された焼夷弾を毎年夏に展示してきました。長岡空襲70年の今年、新たに2つの展示が加わりました。収束焼夷弾の頭部と底部です。これらの3つが前川地域の方々によって大切に保管されてきました;


129号 感話:仏教を知りたい 1.M69焼夷弾(青山町古塩正一さんより)
 毎年展示させていただいてきました。M69が18本ずつ束になって2段構造で一つの収束焼夷弾となっています。
2.E46収束焼夷弾頭部(青山町岸敏英さんより)
 直径30cm余りですが、重さは31kgあります。持ち上げようとして持ち上がらない重さです。戦後宮原付近で道路工事に従事している際に地中より見つけられたものです。
3.E46収束焼夷弾底部(前島町藤原徳市さんより)
 重さが13kgです。信濃川の砂利採取をされていた藤原さんの父親が拾得されたものです。
 上空からとてつもない大きな重い爆弾が落とされたのです。E46収束焼夷弾 4,244発(M69子弾 161,272発)が、ゼリー状の油脂ガソリン(ナパーム)をまき散らし、あたりを火の海にしました。これを落下させたアメリカの兵士も平時に戻ってから、どれほど心を痛めたかしれません。


感話:仏教が知りたい

129号 感話:仏教を知りたい 夏休みを利用してドイツ在住の弟家族が弟だけを家に残して里帰りしてくれました。大学で音楽を勉強している姪が、仏前に手を合わせたあと、仏教のことを教えてと私に話しかけました。ヨーロッパで生活していると宗教を尋ねられることがよくありますが、彼女は自分が「仏教」と答えられるためにはもっと仏教を知らなければならないというのです。「何となく仏教」では通用しない社会なのです。私を喜ばせるための質問ではなく本当に知りたいという表情でした。
 ユダヤ教、イスラム教、キリスト教は同一の神を神としているのに、イスラム教は「神は怖い」と感じ、キリスト教は「優しい」と感じる。キリスト教の神は「慈愛」と表現しました。私は、「仏教は慈悲」と答えました。


129号 感話:仏教を知りたい  仏様の慈悲とは、「人の悲しみを自分の悲しみとすること。己はさておいて他を利すること」 の二つをあげました。これはこの世で生きる私たちには到底できないことです。できないけれどめざしたいと考えることはできます。仏教は、仏さまの説かれた教えという意味と自ら仏になるための教えでもあります。これに対してキリスト教やイスラム教では「自らも神になる教え」ではないところが根本的に違っています。
 「私が仏になるための教え」ですから仏になりたいと願わなければ、そもそも仏教自体が成立しません。仏教は仏になりたいと思う心が大事なのです。「発菩提心(ほつぼだいしん)」といいます。仏になろうと決意することです。浄土真宗のお勤めの最後は「願以此功徳」から始まり、「同発菩提心 往生安楽国」で結ばれます。この菩提心です。仏になりたいと願う心は、人と共に幸せを願う心でもあります。


129号 感話:仏教を知りたい  ここまで説明して終わりました。自分でも思いますが、この辺で難しい(聞き慣れない)ことばを使い始めるのです。ドイツに住む彼女にとってはなおのことです。もっと日常的なことに即して仏教を語れないものでしょうか。それでも彼女と母親は、「分かりやすく書かれている仏教書はいっぱいあるんだけど、実際に話をし、聞かせてもらうと違うよね」と言ってくれました。
 一足先に帰った同じく大学生の甥は「仏教の話はとってもおもしろかった。時間切れで終わったけれど」と父親に伝えたようです。日本で育っていないけれど日本人であることを意識して、日本人であることに誇りも持ち、仏教を学ぼうとしている姿に喜びを感じました。まだまだいろんなことを話したかった。ヨーロッパの人々が仏教をどんなふうに捉えているのか。いろんなことを聞きたかった。合掌


写真:1)高さ3mまで伸びた大輪のひまわり
   2)枯れて切ったサルスベリから花が咲きました。
   3)お盆のお墓参りの折いただいた白い蓮の花。翌日半日咲いて次の朝すべて散りました。


イメージ:ボタン

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