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114号 感話  国の姿を写す鏡 子どもの笑顔 ミャンマーの旅 [ 平成26年6月3日 ]

急に夏の暑さになっています

114号 感話  国の姿を写す鏡 子どもの笑顔 ミャンマーの旅  寒暖の日を繰り返すうち衣替えの季節になりました。お元気でお過ごしでしょうか。日々の暮らしの中で嬉しいことにいくつも出遇います。保育園の降誕会行事のことでした。お御堂に園児が集い、保育士さんが親鸞さまの子ども時代松若さまの紙芝居をしてくれました。紙芝居のまとめは「ありがとう」と「ごめんなさい」でした。「みんなはどんなときに、ありがとう、と言う?」と尋ねると、すぐに「何かをもらったとき」と答えました。さらに「いろんなものをもらって嬉しいね。その中で一番嬉しいありがとうはなんだろう」と聞いてみました。子どもたちは一生懸命に考えます。年長の女の子が手を挙げて「いのち」と答えました。それを聞いた私がどんな顔をしたか想像できるでしょう。嬉しくてその女の子を前に出して名前を聞き、頭をなでました。「そうだよね、みんなはひとりに一つずつのいのちをもらったんだよね。このありがとうが一番大事なありがとうだと思います」。こんな出遇い、子どもたちに「ありがとう」でした。合掌


親鸞となむの大地展 託念寺旅行

114号 感話  国の姿を写す鏡 子どもの笑顔 ミャンマーの旅  5月23日 44名で出かけてきました。
 9時:出発⇨ 9時30分着 親鸞となむの大地展(県立歴史博物館)11時発⇨ 北陸自動車道  ⇨ 昼食 ⇨ 居多ヶ浜 ⇨ 本願寺国府別院 ⇨
 恵信尼さま廟所・恵信尼さま会館・記念館  ⇨ 浄福寺(柿崎) ⇨
 託念寺着18時

 バスの中もとっても楽しい旅行でした。
 


感話  国の姿を写す鏡 子どもの笑顔 ミャンマーの旅 託念寺当院:鷲尾顕一

114号 感話  国の姿を写す鏡 子どもの笑顔 ミャンマーの旅  GWを利用して行ってきました。ミャンマーはタイ、中国、インドに接する国で、国民の90%が上座部(じようざぶ)仏教徒です。近年民主化に舵を切り、経済観光の両面において世界的に注目を集めています。私がミャンマーに最も惹かれた理由は『バガン遺跡群』を見たいからでした。カンボジアのアンコール遺跡群、インドネシアのボルブドゥール遺跡と並び世界三大仏教遺跡として認知されており、背の低い木々のある平原から大小2000あまりのストゥーパ(仏塔)が立ち並ぶ風景は、壮大で感動的でした。


114号 感話  国の姿を写す鏡 子どもの笑顔 ミャンマーの旅  しかしこの旅で何が一番印象に残っているかというと、バガン遺跡群ではなくミャンマー人の優しい人柄なのです。こちらから挨拶をすればほぼすべての人が笑顔で挨拶を返してくれるし、子どもは人懐っこく屈託のない笑顔で接してくれます。また子どもが大人に大切にされているなぁと思う場面も多くありました。これまで多くの国を訪れましたが、その国の印象を決めるのはそこで出会った『人』なのだなと改めて思いました。それは特定の人というより国民性ともいえるものだと思うのですが、良い例をあげればこのミャンマーです。


114号 感話  国の姿を写す鏡 子どもの笑顔 ミャンマーの旅  子どもは大人のすることを無意識のうちに模倣していきます。大人が他人に対して敬意を持ってフレンドリーに接していれば、それが自然の事として子どもの身に付きます。またこの良き国民性の源流に仏教があることは想像に難くありません。国民の9割が上座部仏教を信仰するミャンマーでは、普段の生活から『徳』を積むことを意識しています。上座部仏教はざっくり言えば自力の教えですから、修行しないことには極楽に往生できません。では僧侶でない人たちはどうするかというと、托鉢(たくはつ)をする僧に食べ物を施したり、寄付をしたり、お寺にお参りに行くという善行(『徳』)を積む事になります。輪廻転生(りんねてんせい)思想のもと、この徳を積むという行為が善き生まれ変わりにつながります。また良い事があれば徳を積んでいたおかげ、悪い事があれば徳が足りなかったという具合に、日常のあらゆる場面で因果応報の考えを意識しているようです。


114号 感話  国の姿を写す鏡 子どもの笑顔 ミャンマーの旅  宗教はその国の国民性に色濃く反映されます。ミャンマーではその良い面ばかりを見ることができたような気がします。私が行ったことのある国の中には、あまり良い印象を持つことのできなかった国もあります。そこでは観光客を金づるにしようとする大人と、それを真似する子どもの姿がありました。侮辱や差別的な言葉を子どもに言われたこともあります。しかし誤解のないようにしておきたいのが、どんな国でもほとんどの人は親切という事です。ごく一部の人間の行動がその国の印象を左右し、それが積みかさなれば国民性として認知されていきます。外国人から見た日本人の国民性はといえば謙虚で勤勉でシャイといったところでしょうか。東日本大震災の時に報道されたモラルの高さなども誇るべき国民性といえます。いずれにせよ好意的に受け入れられています。これも積み重ねによる結果です。一朝一夕に得られるものではありません。
 今回の旅で感じた事は、子どもの存在はその国の姿を写す鏡だということです。良いものも悪いものも積み重ねていくことが結果として表面化します。大人が子どもに対して無償の愛情をもって接すれば子どもの笑顔は失われないでしょう。しかし大人が作っていく社会が経済的な豊かさだけを求めていたら、いつかそれは子どもの表情に反映されてしまうのでないでしょうか。子どもの笑顔は人を幸せな気持ちにさせてくれます。その笑顔に気付かされたミャンマーの旅でした。 合掌


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