111号 感話:始まりは気づかぬうちに [ 平成26年3月3日 ]
スマイル
ソチオリンピックが閉幕しました。今回もまたたくさんの感動をもらいました。オリンピックは特別ですね。4年に一度しか開催されない中で、メダルを獲得することはいかに難しいことであるのか改めて思いました。私にとっての一番のハイライトは浅田真央さんの演技でした。ショートプログラムで失敗した後、彼女はどんな思いで1日を過ごしたのでしょうか。「逃げ出したかった」とのコメントがありましたが、このままで終わったらどんな顔をして帰国するのだろうか。それでもマスコミは彼女を追いかけるのだろうか。浅田さんのこころの中を思い、自分の経験と重ね合わせて辛くなりました。その彼女が奇跡のようなパフォーマンスをやってのけたのです。すごい人だと思いました。演技後のインタビューで「佐藤コーチに『演技の途中で倒れたら俺がすぐに助けに行く。だから思い切り滑ってこい』と言われ、吹っ切れた」と心情を明かしていました。自分がどんな辛い状況に置かれても誰にも代わってもらえない。自分ですべて引き受けていかなければならないことは彼女が一番分かっていることなのです。それでも彼女に元気を取り戻させ、勇気を奮い立たせるとしたらどんな言葉かけができるのか。言葉の力、親身になってこころから支えようと発せられる言葉の力は偉大ですね。演技し終えた浅田真央さんの涙と笑顔を見て、私はただ「すごい!」と思いを発するのが精いっぱいでした。メダルを取れなかった悔しさはすべて吹き飛び、不思議な感動を覚えました。メダルをかけずに帰国したあの晴れやかなスマイル、何とも清々しい気分になりました。
写真:思い出写真館のつもりで。昭和38年1月28日の本堂雪下ろしの光景です。積雪が3m近くなったのでしょうか。
母のこと、弟のこと
行事案内でお示ししましたが、3月21日開催の家族礼拝行事でフルートミニライブを行います。
私的なことで恐縮ですが、母は昨年3月末に歩行中に転び、それがもとで歩けなくなりました。また時を同じくして膀胱炎が見つかって入院し、現在は尿管カテーテルを常時装着している状況です。昨年4月中旬以降介護つき老人ホームに入所しています。父の時は最期まで家で世話ができたので母も同じようにできればと思いましたが、さまざま状況を勘案して入所に至りました。幸い姉の住まいが近くにあり、姉は頻繁に足を運んでくれています。入所して一年近くになります。自力歩行ができずベッドで過ごす時間が多いのですが、床ずれもなく、コミュニケーションも違和感なくできる状態です。といっても相変わらず自分の切なさをオーバーに訴えることが多く、それを受け容れない私たちには「自分で経験してみなければどれくらいナンギィものか分からんよ」と同情を強要してきます。つまりは元気にしております。
弟は永年勤めていたドイツにあるデュッセルドルフ交響楽団を昨年10月に退職いたしました。22歳の時に単身ドイツに渡り、楽団員になってから30年以上第1フルート奏者のポジションを守り続けました。このたび母を見舞うという目的で里帰りします。母は心待ちにしているようです。ちょうど春のお彼岸と重なったので恵以真会の皆さんにご相談してミニライブを企画いたしました。どうぞ寺に集っていただきたいと思います。
感話 始まりは気づかぬうちに
NHK朝ドラ「ごちそうさん」の主題歌にあるフレーズです。あと1ヶ月で終わりになります。毎日聞き漏らさないよう字幕オンに切り替えて見ています。今、太平洋戦争末期にさしかかっています。いったいどうしてこんな状態になってしまったのだ。いつ、どうなったら戦争が終わるのか。戦地に行った人は戻ってこれるのか。何も分からないままに不安だけが大きくなっていく。戦争の描写はいつも心が痛みます。私たちは長い間戦争をしていない中で生活してきて、戦争をリアルにイメージすることが困難になっています。作家山田太一さんは次のように書いています;
いざ戦争になったら敵はこちら側の人間なら誰彼かまわず、憎しみをみなぎらせて一人残らず殺して当然と向かってくるのですから、その戦いの中での敵と味方と自分を含めた人間の弱さ、醜さ、怖さは平和時の想像を軽く超えてしまいます(2014.1/9付け朝日新聞オピニオン 山田太一『「絆」より悲しみが人を潤す』より)
今の世界の動きも不安を感じます。「始まりは気づかぬうちに」が本当にならないようにひとり一人の振る舞いから気をつけていかなければならないと思います。 合掌
写真:思い出写真館(No.2) 前川郷大運動会 昭和20年代の前川です。
まどみちおさんを悼む
2月28日 まどみちおさんが亡くなれました。104歳でした。
ぞうさんを何度も手話つきで歌いました。
くまさんも好きな歌です。
春が来て 目が覚めて クマさんぼんやり 考えた
さいているのは たんぽぽだが
ええと ぼくは だれだっけ だれだっけ
春が来て 目が覚めて クマさんぼんやり 川に来た
水に映った いい顔を見て
そうだ ぼくは クマだった よかったな