109号 感話:心に響くことば [ 平成26年1月4日 ]
あけまして おめでとうございます
平成25年の世相を表す漢字は「輪」と報じられました。「お念仏の輪を広げましょう」と私も先般の新潟教区仏壮大会で表明し、「お念仏は声に出して称えましょう」、「食前食後には合掌して『いただきます』『ごちそうさま』を実践しましょう」と提案いたしました。お正月は「今年こそは」と気持ちを新たにします。できそうな目標を立てて実践してみませんか。
さきごろお葬式があった方のお孫さんのお話です。夕ご飯は家族がだいたい揃うのだそうです。みんなが揃うとお孫さんが「多くのいのちと皆様のお陰によりこのご馳走を恵まれました。深くご恩を喜びありがたくいただきます。」と発声して食事が始まります。お孫さんといっても今は大学生です。中学生頃からの実践だそうです。食卓を囲むご家族の和やかさが伝わりますね。うれしくなりました。
今年、本願寺では法統継承式が予定されています。新しいご門主さまが誕生されます。現ご門主さまの法名は釋即如、新しいご門主さまは釋専如です。また法名とは別にいわゆるお名前(実名)があって性は大谷、お名前はそれぞれに光真、光淳といわれます。新ご門主さまは親鸞聖人から数えて25代目になります。本願寺新報に現ご門主さまとして最後の「年頭の辞」が掲載されました。
年頭の辞
光寿無量 門主 大谷光真
門主を継職してから36年と9ヶ月が過ぎました。(中略)年齢とともに、時の経つのが速くなるように感じられることは、多くの方に共通しているようですが、近年は世の中の変化そのものが速くなっており、一層慌ただしく感じられます。この変化は主として、科学技術の発達と経済活動の進展によるものですから、人間一人一人の生活や社会の仕組みがうまく対応できるとは限りません。企業の盛衰や人々の生活格差は激しくなっています。それに対処できる国内の仕組みや国際的な協調が追いつきません。そのためか(中略)今さえよければ良いという風潮が感じられます。(中略)
仏教の役割は、移り変わる世の中を生きる人間に、変わることのない依りどころを与え、恵まれたいのちを精いっぱい生きるように導くことではないでしょうか。浄土真宗では、阿弥陀如来の本願すなわち南無阿弥陀仏が依りどころです。阿弥陀如来に無条件に受け容れられることによって、私は不都合な過去も受け容れるようになり、今、生かされていることを喜ぶことができます。今年も、お念仏を申して、一日一日を大切に過ごさせていただきましょう。
共に大切に思ってくれる伴侶
天皇陛下が80歳の誕生日を迎えられ、皇后さまへの謝意をお言葉にされました;
「私は結婚により、私が大切にしたいと思うものを共に大切に思ってくれる伴侶を得ました。皇后が常に私の立場を尊重しつつ寄り添ってくれたことに安らぎを覚え、これまで天皇の役割を果たそうと努力できたことを幸せだったと思っています」
今年の4月にはご結婚55周年を迎えられます。昭和34年の結婚式は馬車パレードの様子をお御堂におかれた17インチテレビの前で大勢の方々と一緒に見たのを思い出します。皇后さまもまた「皇后の役割を果たそうと努力できたことは幸せでした」と思っておられるに違いありません。
自分が大切にしたいと思うものを共有してくれるひとがそばにいたら、仕合わせです。
写真は、宵の明星と三日月との競演(12月5日 当院撮影)
感話 心に響くことば
正月のうれしいことの一つにカレンダーがあります。カレンダーは時間とお金がかかっているものだと思います。カレンダーをいただくと1年分の内容をめくってみます。きれいな写真があり、動物の表情があり、すてきな絵があり、ほれぼれする墨筆の書があり、心に響くことばがあります。若い頃は女優さんが月ごとに変わるカレンダーを心ひそかに楽しみにしていたこともあります。月が終わっても大切にしまっていたり。娘は家族写真を1年分撮りためて作ったオリジナルカレンダーを送ってくれました。そこにヂヂ、ババと一緒の孫たちを見つけて思わず頬がゆるみます。これらはきっと1年くらいの時間をかけて作成されているのではないでしょうか。だとすれば新しいカレンダーが掛け替えられる今の時期にもう来年のカレンダー作成が始まっているのでしょう。
寺から皆様のご家庭には法語カレンダーと「心に響くことば」をお届けさせていただいています。私は日曜法座で月に一回は法語カレンダーの法語をテーマにしてお話しをさせていただいています。きっと率直な感想は「むずかしいことばが多い」であるかもしれませんね。私も同じなのですが、「心に響くことば」の解説を頼りににわか勉強をしてお話ししています。とはいっても真宗十派の教団連合が定めている法語です。大切なことばが選ばれ載せられているのです。今年の2月には「人は法を求めるに止まって 法に生きることを忘れている」とあります。高光大船という方のことばです。初めて目にしたお名前なのですが、「心に響くことば」の解説には心惹かれる文言がありました。ちょっと引用します;
両親が仏法を聞くように勧めても聞こうとしない若者に「仏法とは何ですか」と問われた時、氏は「仏法とは鉄砲の反対だ」と答えたそうです。その意味は「鉄砲は生きている者を殺すものだが、仏法は死んでいる者を生かすものだ」というのです。そこで「棺桶の中に入ったものを生かすのが仏法か」と問うた若者に、「あれは遺体であり、死んでいる者とはいわない。お前のような者を死んでいる者というのだ」・・・・
この続きはどうぞお読みください。これに続く問答によってその若者は仏法を聴聞するようになったというのです。仏法は理解するものではなく聞いていくものだといわれます。理解したと思っていても自分の性分はちっとも変わらず、家族からは「お寺に行って何を聞いてきているがらの」と嫌みを言われることもあるかも知れません。だからこそ、聞いて、聞いて自分の姿を見つめていきましょう。
最後に東井義雄さんの詩で構成されている「ほのぼのカレンダー」のことばをご紹介します。
「小さくてもいいのだよ あんたの花を力いっぱい 咲かせておくれ」(4月のことば)
行事点描
上の写真
25年終い講。堀井善治さんが長岡の方言についてお話くださいました。「しょうしい」ような笑いに包まれました。
お御堂掃除と仏具みがき
12月30日 大勢の方にご協力をいただきました。