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106号 感話 「差別」に思う [ 平成25年10月4日 ]

衣替え 寒さも感じる季節となりました

106号 感話 「差別」に思う  9月16日に台風18号が日本列島を襲いました。長岡は強い雨風に見舞われませんでしたが、上流の豪雨で信濃川はかなり増水して長生橋が一時通行止めになりました。翌朝越路橋を渡ると、濁流が水位を上げ、川幅を広げて流れていました。こんなとき川の魚はどんなふうに身を守っているのでしょうか。清流を好む鮎だけでなく鯉や鮒など普通の川魚だってあの濁流では目を開けて泳ぐこともできないでしょうに。口を開ければ泥がたくさん体内に入り込んでくるでしょうに。呼吸は普通通りできるのでしょうか。自然の中で生きるということはこういうことなんだと改めて思います。
 台風が過ぎた後は秋の澄んだ空気がひろがり、中秋の名月を演出してくれました。私は元上組の僧侶研修旅行で長野の譜願寺様にお参りし、河口湖畔で富士山を満喫してきました。ぬかるんだ田んぼで稲刈りに奮闘されていた方を思うと内緒にしておきたかったのですが、あまりにきれいに撮れた富士山を自慢したくて、日曜法座でもお話ししました。朝6時気温10℃、富士山は、オレンジがかった日の光を横から受け、鏡のように凪いだ湖面に逆さの姿を映しています。これも自然です。


秋の家族礼拝

106号 感話 「差別」に思う  9月23日は100人近くの方々が寺に集まって仏さまに手を合わせました。DVDでいとうひろし作「だいじょうぶ だいじょうぶ」を見ました。もう20年近く前、作家柳田邦男さんの講演会で紹介してもらって好きになった絵本です。柳田さんは子どもの頃、生活にどんなに困窮しているときでも、お母様が「しかたなかんべさ」「どうにかなるべさ」と口癖にされていました。「だいじょうぶだいじょうぶ」の安心をそのことばから感じ取られたそうです。子どもの頃から臆病だった私も「だいじょうぶだよ」のことばをもらい続けてきたようです。


有縁講のお誘い

106号 感話 「差別」に思う  有縁講は毎年11月に1ヶ月営まれます。温泉に浸かり、お仏間でご法話を聞き、宴会ではご馳走とお酒、ステージでの演芸を楽しみます。圧巻は旅芸人の人情芝居でしょうか。ゆったりした日程で晩秋のひとときを楽しみましょう。初めての方もどうぞご参加ください。「いかったね」の思いを共に致しましょう。
期日:11月14日(木)〜15日(金) ところ:妙高高原赤倉ホテル 参加費:男性14,500円 女性13,500円
問い合わせ:託念寺住職まで


  写真は家族礼拝の梵鐘撞き納めです。


浄土真宗の味わい み仏の御名をとなえるわが声は わが声ながら尊かりけり

106号 感話 「差別」に思う  9月の法語カレンダーに紹介された甲斐和里子さんは、慶応4年生まれ。父親が本願寺勧学(学者)だったのに明治26年同志社女子大学に入学されました。NHK「八重の桜」の新島襄が創設したキリスト教の学校です。甲斐さんは同志社で学んだことを、浄土真宗のみ教えの中で実践され、現在の京都女子大学の前身「顕道女学院」を創設されました。阿弥陀さまのお慈悲の心を教育理念に掲げ、「成績優秀者だけが目をかけられるのではなく、成績不十分の生徒も含め、すべての存在をそのまま認め平等に摂め取る」教育を目指されました(「心に響くことば」2013より)。
 自分の口から発せられるお念仏はどこかしら「わざとらしい」という思いになりますね。そんな私のお念仏も「尊い」と転じていくのでしょうか。


 写真は家族礼拝のおつとめ「しんじんのうた」です


感話 「差別」に思う

106号 感話 「差別」に思う  重苦しいことばです。韓国や中国との感情的わだかまりがおさまりません。日本が成し遂げた明治維新という革命は世界でも類を見ないものであったそうです。明治維新後の発展も同じように評価されているかもしれません。しかしながら多くの過ちも犯してきています。
 先般叔母が日経新聞の切り抜きを送ってくれました。「熱風の日本史 欧化という熱病(明治)」というタイトルです(日経新聞9月8日)。鎖国が外圧で解かれ、西欧の文明に接した当時の若き指導者たちは、あまりの違いに仰天したことでしょう。そして次々に侵略を進める西欧諸国の脅威を肌で感じ、恐怖を実感したに違いありません。同時に西洋人に対して強烈なコンプレックスを感じた人も少なくなかったでしょう。西洋人は優等な民族であると思い込んでしまいます。日経新聞の見出しは「人種改良 本気で議論」「西洋人と結婚し優れた子孫を」と記し、「明治の日本人は、西洋人種に劣っていることを誰も疑わないほどに認め明瞭だった」と当時の文献を紹介しています。その結果として「優等」「劣等」という民族観が生まれ「1位は西洋だが、自分たちは2位」という歪んだ自己意識を作り上げて、他の非西洋諸国への優越感、蔑視感情が生まれていったと分析しています。
 100年以上経った現在でも否定できない感情として残っています。「恥ずべし、傷むべし。」 合掌


 写真は家族礼拝の梵鐘撞き納めです。


イメージ:ボタン

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