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88号 感話:今井雅晴先生の眼差し [ 平成24年4月3日 ]

新年度 異動

88号 感話:今井雅晴先生の眼差し  新年度がスタートです。「4月から○○が新しくなります」とテレビでは変化を予告するアナウンスが流れます。託念寺でも私事も含めていくつか異動がありますのでお知らせいたします。
 当院(次期住職をこのように呼びます。名前は顕一です)が4月からこちらで生活します。私はこれまで務めていた前川保育園副園長を退職し、当院がその仕事に就きます。保育園の仕事が主となりますが、当院ですから寺の仕事も必要に応じて手伝ってくれると思います。私の代わりに寺役(じやく:寺の仕事)をしたときにはよろしくお育てのほどお願い致します。
 私は元上組組長を3月末で退任いたします。5年の任期を何とか勤めさせていただきました。この間に親鸞聖人750回大遠忌法要がありましたので、元上組お待ち受け法要、本山本願寺への団体参拝を組長として務めることができました。特に明鏡寺様でのお待ち受け法要では法要が終わったことを見届けるように父が往生を遂げました。多くの方々のお陰でした。ありがとうございました。4月からは正林寺様ご住職堀川意明さんが組長となられます。組の活動にはこれまで同様積極的に参加します。
 これで私の仕事がずいぶん楽になるのではと期待しています。これまで母が庫裏をひとりで守ってくれていましたが、恐るおそる4月からは私も庫裏にうつります。どうぞ法談にいらしてください。

 写真は家族礼拝 小学校5年生の作文朗読


ありがとうございました家族礼拝

88号 感話:今井雅晴先生の眼差し  東日本大震災から1年経ちました。春のお彼岸に行う恵以真会家族礼拝は、被災者への追悼の意味を込めて企画いたしました。地震と津波に被災した小学5年生の作文(「つなみ」被災地のこども80人の作文集:文藝春秋刊)3編を前川小学校5年生の子どもたちに読んでもらいました。作文には、子どもたちが経験した恐怖とともに、多くの支援を受けて自分もひとの役に立てる大人になりたいと感謝と決意が綴られていましたが、朗読した子どもたちは練習段階から積極的に参加してくれました。「私たちも出来ることをやっていきたい」のまとめに大きな拍手をいただきました。
 ギター生演奏による絆コンサートでは、「千の風になって」や「ふるさと」を歌いました。普段はロック音楽が得意だという高校3年生デュオの演奏に合わせて100人超の参拝者が歌いました。歌っていいですね。元気をもらいました。


小学校卒業おめでとう

88号 感話:今井雅晴先生の眼差し  今年もまた卒業式を終えてお御堂にお礼参りにきてくれました。感謝の読経をし一服すると、みんな立ち上がり、真新しい中学校の制服で小学校の校歌を合唱しました。なめらかなエレクトーン伴奏とゆかいな指揮ぶりにお御堂が和やかな雰囲気に包まれました。ほとけさまもニコニコ顔でした。


感話 今井雅晴先生の眼差し

88号 感話:今井雅晴先生の眼差し  3月中旬雪が降りしきる中、親鸞様と関東二十四輩の旅に出かけてきました。トンネルを越えて関東平野にいたるや温かい日差しがバスの中を明るくしました。現地で筑波大学名誉教授今井雅晴先生に合流して、ご旧跡のご寺院を訪ねてきました。今井先生がご一緒ということで申し訳ないほどのご接待もいただきました。
 今井先生は歴史の専門家です。特に日本の中世仏教史、とりわけ親鸞聖人の歴史研究では今最も注目されている研究者です。先生のご著書を何冊か読ませていただいていますが、人への眼差しが優しいのです。旅行から戻ってすぐに届けられた「自照同人」の最新号に「親鸞の家族ゆかりの寺々」 と題して連載第1回が載っていました。先生の歴史研究のあり方が示されているところを引用します;
「東日本大震災の後、家族や地域の人たち、友人など、人間関係の大切さがあらためて認識されるようになりました。・・中略・・バブル経済以降、日本人はしだいにそのことへの気持ちが薄れつつありました。・・中略・・いま、日本全体としても家族の大切さを身近に感じ直していかなければならないと思います。本連載はそのことを年頭に置いて話しを進めていきます。」 


88号 感話:今井雅晴先生の眼差し  今井先生は今を大切にされています。歴史的事実は変わらないとしてもその見方、受け止め方は時代によって変わっていくとおっしゃっています。旅の各所で先生の見方を雑談としてお話し下さいました。そのひとつ善鸞義絶(俗に言う勘当)についてご紹介しましょう(私の聞き書きです);
 「善鸞さんは親鸞さまのご長男です。ご自分が関東を離れたあと、教義をめぐって混乱が起きていました。それを収めるために善鸞さんを関東に派遣されました。親鸞様が善鸞さんを信頼されていたからです。それでも関東のそうそうたる有力者の前でその役割を十分果たすことはできなかったのでしょう。善鸞さんはきっと親鸞様の身近にいて最も正しく教義を理解していたに違いないのです。それだからこそ関東土着の人たちと受け止め方が違っていたのでしょう。善鸞さんはどれほどそのことに悩み、父親親鸞様も悩まれたことでしょう。それでも止むに止まれず義絶という形をとられたのかも知れません。でもそれを750年以上経た今に至っても善鸞さんを「父を欺いた親不孝者」とレッテルを貼り続けているのです。自分の子どもを親が人前で叱責することがあっても、他人から「お前の息子は何てひどいやつなんだ」と言われたらどんな気持ちになるでしょう。もうそろそろ善鸞さんの見方を変えてもいいのではないですか。今は家族の絆を殊更大事にしなければと言っている時代なのですから」と。とても印象に残りました。合掌


88号 感話:今井雅晴先生の眼差し


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