８１号 感話：弱者の思想 [ 平成23年9月5日 ]
お盆が過ぎて
お盆が過ぎて、あれほどに暑いと言っていたときがちょっと名残惜しく思えます。お盆にはたくさんの方がお墓参りをされました。日本の風習「お盆休み」は大切にしたいですね。浄土真宗では「先祖供養(くよう)」ということばは使いませんが、ふるさとに戻り、先に逝かれた方を墓前に手を合わせて偲ぶ姿はいいものです。
夕暮れ時から次々に灯されていくろうそくの明かりは、それぞれに人への思慕や温もりが感じられました。稲川明雄さん（河井継之助記念館館長）がお盆のお墓参り風景をカメラに納めたいと長岡ケーブルテレビを伴って取材に来られました。カメラを向けられて不審に思われた方もあったかも知れません。いずれかの機会に放映されることになると思います。ご了解をお願いいたします。
親鸞聖人750回大遠忌法要元上組団参
11月9日に元上組の法要参拝が予定されています。2か月前になり準備に熱が入ってきました。今のところ元上組14か寺から259名でバス6台の編成です。平均年齢69歳（最高齢は89歳、最年少28歳）、男女比は男性:148名、女性：111名となっています。無事にお参りしてこれるかと心配しながらも大勢の方々とご縁の時間をともにすることに期待が高まります。
参加される方にお知らせです。参加費残金は10月初旬にお願いします。団参事前説明会は10月31日（月）13時30分〜15時30分 会場：長永寺（浦）で予定しています。記念の門徒式章、バッグ、法要のしおり等が配布されます。今から予定を入れておいてください。法要に備えて体調を整え、楽しい旅に致しましょう。
写真は恵以真会主催暁天法座第３日
小学生のお勤め「しんじんのうた」
前住職法話集を刊行します
7月21日に開催された夏季世話方会議において、昨年9月26日に亡くなった前住職（恵真院釋晃凢）の法話遺稿集を編集刊行することが決まりました。来年秋の三回忌法要に刊行することをめざします。
本の企画構成案
?住職30年の足跡（写真とともに振り返る）
?遺稿法話集（恵以真会報や日曜法座等から編集）
?前住職の思い出（有縁の方に原稿依頼）
写真は在りし日の前住職 お酒が入れば踊り出す
なごみの笑顔に囲まれて
感話 弱者の思想
盂蘭盆会(うらぼんえ)法要（盆参）の法話で社会学者上野千鶴子さんの最終講義の内容を紹介しました。「女は弱者である。子供を産んだとき、患者を抱え込んだとき、女は逃げなかった。だから支え合って生きる。弱者である女は強者になろうとせず、弱者のまま尊重される社会を求める。私は超高齢化社会が来てよかったと思っている。かつて強者であった人も下り坂に入り最後は誰でも弱者になる、私は高齢化社会はそのことを明確にしてくれたと思う。誰でもが弱者になるからである。支えてもらわないと生きていけないからである。そして誰もが弱者になる可能性を想像できるようになった。」と。
今、NHK大河ドラマで「江」をやっています。原作・脚本は田淵久美子さんという女性です。江という名の主人公は、織田信長の姪であり、豊臣秀吉に父浅井長政を殺され、それなのに秀吉の養女にさせられて、徳川家康の嫡男秀忠に嫁ぐという戦国時代の英雄三人と深く関わった稀有の女性です。私は、秀吉がこれほどまでに身勝手に権力を振り回し、暴君として描かれているのを見たことがありません。次第に違和感が強くなり、興味が失せかけたことがありました。秀吉は立身出世の主人公でしたが、常に敵を倒して勝ち得たものでした。立身出世などという英雄物語である反面、強者となるために戦いをし、数えきれない人のいのちを奪ってきたのです。大河ドラマの「江」はそんな秀吉に、なんども痛烈な非難のことばを浴びせるのです。実際にはこんなことはあり得ないと思いながら見ていましたが、きっと人を蹴落として強者になっていこうとする男世界への皮肉がこめられているのです。私たちはこんな秀吉を英雄として語り継いできたのですよと。
五木寛之さんの小説「親鸞」は恵信尼(えしんに)さまという女性の視点がとても大切に描かれています。親鸞聖人は女性を含む弱者の側に常にご自分の身を置こうとされていました。弱者が弱者のままで尊重され、弱者のままでも生きていける社会を作りたいと願われたように思います。今の時代の「親鸞ブーム」がうなづけます。合掌
写真は８月１３日お盆お墓参りの夕暮れどきスナップです。
