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78号 感話:名前を呼ばれる喜び [ 平成23年6月7日 ]

6月衣替え

78号 感話:名前を呼ばれる喜び  田植えが済み水田(みずた)になると、カエルがにぎやかに鳴きます。カエルもいのちの営み。嬉しかろうと思います。これからは一日一日成長して丈を伸ばしていく稲の緑が楽しみです。
 東日本大震災のその後は明るいニュースがあまり届きませんが、励まされ、嬉しくなるニュースもありました。5月30日に小千谷極楽寺ご住職と有志の方々が宮城県亘理町の仮設住宅に生活用品20品目100セットを届けに行ってこられたそうです。被災者のニーズを確認し、多くの方々に支援を呼びかけ、集まった品物を整理し、それを現地に届ける。ものすごく手間と根気のいる作業です。頭が下がります。自分にできることを長く継続して活動していきたいと思います。

 大乗6月号「500字随想」の欄に託念寺当院の記事が掲載されました。となりのページは前大阪府知事太田房江さんでした。ちょっと感激です。


 ありがたいご投稿です

78号 感話:名前を呼ばれる喜び  新潟日報「窓」欄(5月27日朝刊)に右の記事が載っていました。もったいない気持ちになりました。電話やメールそして直接お会いした方から「託念寺さんのことでしょう。ありがたいですね」と言ってもらっています。高津百合子さん、父ならきっと「ありがとの、ありがとね」と顔をほころばせたことでしょう。


感話 名前を呼ばれる喜び

78号 感話:名前を呼ばれる喜び  今朝のことです。ゴミ出しをしようとゴミステーションにいくとお母さんと手をつないで男の子が登園してきました。4歳ですが、今年の4月から入園したのです。ニコニコしながら私に挨拶をしてくれました。家に戻り用事を済ませて再び外へ出ると、今度はちょうどお母さんが保育園から帰られるところでした。すると2階の遊戯室から大きな声で「おかあさん」と呼ぶ声が聞こえました。「バイバイ」と手を振っているのです。お母さんはもちろんそれに応えて手を振ります。私もその男の子に向かって手を振るのですが、私には目を向けずに何度も「バイバイ」を繰り返します。お母さんは私に目配せしながら嬉しそうな表情で男の子の方を振り向き、振り向き帰って行かれました。
 浄土真宗の生活信条は50年前の700回大遠忌法要の折、前門主様(勝如上人)が制定されました。分かりやすい表現で浄土真宗の肝要が4つ示されています。その一番目に「み仏の誓いを信じ 尊いみ名をとなえつつ 強く明るく生き抜きます」と書かれています。み仏の誓いとは、「私の名前を呼んでくれた人は どんな人をも見捨てません。護り続けます。」そんな意味です。


78号 感話:名前を呼ばれる喜び  これはまさに母と子の姿と同じであると思いました。母親は、子どもに「おかあさん」と甘えられたり頼られたりすることで本当の母親になっていくのではないでしょうか。「おかあさん」と呼ばれることはどんなにか嬉しいことでしょう。どんなことがあってもこの子を護るよ、という気持ちが自然に沸いてきます。それが母性というものかもしれません。お母さんはいつも子どものことを思います。子どもが別れ際に泣いたりすれば仕事をしながらでも心配でなりません。子どもは別れたあとにすぐにケロッとして忘れるかも知れないのにです。そんな子どもたちではあっても、母親の愛情を信じて疑いません。そして朝に晩に「おかあさん」「おかあさん」と名を呼ぶです。「おかあさんなあに おかあさんって いいにおい ・・・・」という歌があります。お母さんが「なあに」と応えてくれればそれが大きな喜びとなり、安心して強く明るく生きることができるのです。
 「おかあさん なあに」 懐かしい響きです。合掌


 写真は6月5日の大遠忌法要の様子です。山崎浩さんによる敬礼文独唱。


託念寺親鸞聖人750回大遠忌法要 6月5日勤修 住職挨拶

78号 感話:名前を呼ばれる喜び  本日は晴天の中、託念寺親鸞聖人750回大遠忌法要が大勢の皆様と一緒にお勤めできたこと大変感激しております。50年に一度の大遠忌法要を託念寺としてこれまでどのようにしてお勤めしてきたのかよく分かりませんが、50年前の大遠忌法要は昭和39年5月3日に厳修しております。その写真を冊子の2ページに掲載いたしました。寺院風の屋根ではない横長の大きな仮御堂をバックにして大勢の方が写っています。見入ってしばし時間が奪われてしまいます。50年という時の流れを感じます。新潟地震があり、新潟国体があり、東京オリンピックの年でした。振り返ればそんなに長い年月でもなかった気がしますが、少年だった私が老年に足を踏み入れる年頃になったのですから、まさに「一生すぎやすし」ということであります。


78号 感話:名前を呼ばれる喜び  750回大遠忌法要に父、前住職が居ないことはさみしいことです。このたびの法要では記念行事として金子みすゞコンサートを開くことに致しました。私が金子みすゞの詩に出会ったのは父を通してだったように記憶しています。「大漁」の詩で、いのちをいただいてしか生きられないわが身に気づかされ、「さびしいとき」の詩では同悲の仏さまに出遇うことができました。金子みすゞさんは親鸞聖人のみ教えをご聴聞された方に違いありません。私のこのご縁は山?浩さんと沼田秀美さんの歌声に出遇ってさらに広がりました。詩は歌われて心に残り、伝えられていくのだと思います。この本堂ではもちろんのこと、保育園では子どもたちと一緒に、そしてときにはお葬式でも、山?さんが作曲されたメロディにのせて金子みすゞを歌ってきました。託念寺750回大遠忌法要の機会にホンモノの歌が聴けるのです。父にも聴いてほしかったと思います。
 3月11日におきた東日本大震災のあと、民放のCM自粛の中で金子みすゞの詩がさかんに流されました。被災された方々の悲しみとそれを思いやらずにおれない切なさを、金子みすゞの詩に重ね合わされた方も多いのではないでしょうか。親鸞聖人のおこころを金子みすゞさんの歌で味わっていただけたら幸いです。今日の記念法話でも「山?浩さんに金子みすゞさんの詩に寄せて」と題してお話しいただくことに致しました。どうぞお楽しみください。


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