浄土真宗本願寺派 託念寺のホームページ

浄土真宗本願寺派 託念寺

第60号(感話:忘れる病にも忘れることのできないものがある・・・・) [ 平成21年12月7日 ]

今月の法語

如来の二種の回向 恩徳まことに謝しがたし

 師走です。今年はこの時期としてはあたたかいので、年の瀬が迫っているという感じがしません。


無量寿堂落慶入仏法要 永代経報恩講

第60号(感話:忘れる病にも忘れることのできないものがある・・・・)  11月28日に厳修された無量寿堂落慶入仏法要・永代経報恩講には大勢の方々にお参りをいただきました。お天気が心配されましたが、雨は法要が始まる頃からほとんどあがり風もありませんでした。
法要の表白(ひょうびゃく)の中で「無量寿堂は託念寺にゆかりのある浄土真宗門信徒のご遺骨を納め永代護持するために建立し、このお堂が今後とも故人を偲ぶよすがとなり、またお念仏の輪が広がっていく機縁になることを念願します」と述べさせていただきました。また設計・管理と建設施工の関係業者にご参列いただき立派なお堂の竣工を共に喜ばせていただきました。


第60号(感話:忘れる病にも忘れることのできないものがある・・・・)  永代経報恩講のお勤めではお正信偈が満堂のお御堂で響き渡りました。大勢の同信の方々と唱和していると「共にここにいる仕合わせ」を感じます。
 記念のご法話で、専徳寺ご住職佐々木信義さんはお墓にまつわるお話のまとめに「わがいのち 天地いっぱい 総がかり」の法語を引かれ、いのちをいただいている不思議と一切衆生に支えられているご縁をお示しくださいました。


境内冬囲い 恵以真会の皆さんありがとうございました

第60号(感話:忘れる病にも忘れることのできないものがある・・・・)  11月8日(日) 冬に備えて境内の木々が防雪の衣装をまといました。恵以真会の男性会員が手慣れた動作で作業に当たりました。おひとりお一人の持ち場があって仕事が早いのです。翌日、恵以真会の大先輩が仕上がり具合を見られ「上手にできている。大したもんだ」と褒(ほ)めてくださいました。足手まといになっていただけだった私ですが、嬉しかったです。


感話 忘れる病にも忘れることのできないものがある・・・・

 東本願寺が発行している同朋(どうぼう)新聞平成21年10月号、11月号に、詩人藤川幸之助さんが紹介されていました。認知症の母親を介護する中で生まれた優しいまなざしに引き込まれ、詩集「満月の夜、母を施設に置いて」(中央法規出版2008)を購入しました。その中の一つを紹介します。

母の中の父  藤川幸之助詩
「更けゆく秋の夜・・・・」
と始まる童謡「旅愁」 この歌を
春 桜が咲いていようが
夏 汗だくになっていようが
冬 雪が降っていようが
1年中母に歌ってあげる
この歌を聴けば
母は大声を出して反応するのだ
しかしあんまり上手く歌ったら まったく反応しないときがある
父の声まねをして できるだけ下手に歌う すると母は大声を出して興奮する
この歌は 毎日毎日母の手を取り 父が歌ってあげていた歌
父が亡くなった今でも 母は父を思い出しているのか 父の優しさを感じているのか
それとも父と暮らした安らかな日々を 思い出しているのか 
母には父とのことが ただそれだけが 結晶となって 心の中に残っているに違いない 
忘れる病にも忘れることのできない 認知症にも消すことができない そんなものがあるのだと・・・ 
母の中でぽつんと一粒 父が輝いて見えた
しかし 歌を下手に歌うのが こんなに大変だとは思わなかった
私の声を聞いて叫ぶ母 私の声の中にも父は生きていた 愛しい父が私の中にも生きていた


イメージ:ボタン

浄土真宗本願寺派 託念寺
〒940-1147 新潟県長岡市前島町211
TEL/FAX.0258-22-2998
E-mail.maeho44@crocus.ocn.ne.jp