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第56号 (感話:松野明美さんからのお便り) [ 平成21年8月4日 ]

今月の法語:大悲ものうきことなくて つねに わが身をてらすなり

第56号 (感話:松野明美さんからのお便り)  梅雨が明けません。中国、九州地方では集中豪雨の災害が起きています。毎年繰り返されていますが、これは誰かの責任と言うよりこれこそが自然そのものなのかも知れません。自然を恨んでも仕方がないけれど、このような災害にあって亡くなった人は無念を感じます。その家族も同様です。その自然の恵みに私たちは生かされてもいます。夏になるとお祭りが各地で開かれます。今は観光になったりしているものもありますが、本来は自然への畏敬の念から始まったものでしょう。大いなるものを大いなるものとして畏れと敬いの対象としてきたのです。どんな科学技術が進歩しても大いなるものは変わるはずがありません。早く夏本番になって欲しいですね。


納骨堂の棟上げ

第56号 (感話:松野明美さんからのお便り)  7月28日(火)納骨堂の棟上げがされました。梅雨が長引いて材木の乾燥に時間がかかり、当初の予定よりも少し遅れて棟上げとなりました。この日はよく晴れ上がり大型クレーンで大黒柱、梁木が持ち上げられ固定されました。


納骨堂の名称:託念寺 無量寿堂

第56号 (感話:松野明美さんからのお便り)  納骨堂は一般的な名称ですが、このお堂の固有名詞としては「託念寺 無量寿堂」と命名することになりました。本願寺の納骨施設「無量寿堂」に倣いました。


感話 「松野明美さんからのお便り」

 松野明美さんと言えば、小さな身体で10000mやマラソンを走りゴールした後は力尽きて倒れ込むシーンを思い出されるでしょう。彼女が、日本ダウン症協会会報2009年8月号に「悩んでいらっしゃるお父様 お母様へ」
と題して手書きのお便りを寄稿されています。全文をご紹介します。原文は手書きですが、パソコンで打ち写しました;
 はじめてお手紙を書きます。私自身、5年前、次男をうみました。しかし、重い心臓病、そして、ダウン症というハンディを背負って生まれてきました。生まれた時は、「とにかくどうしたらいいのだろうか?」「あぁ 生まなければよかった」と強く思い、その後、ずっと「この子を一生かくし続けよう」と心に決めました。今の自分のイメージをこわしたくない!この一心で生きていました。公園に遊びに連れて行ったこともありません。スーパーに買い物に一緒に行ったこともありません。あの頃の自分は、「自分が一番、子どもが二番」でした。でも、心臓病を乗りこえ、元気に生きている我が子、健太郎を見て一日一日過ごしていくうちに、どうしてかくしているだろうか?こんなひまわりのような我が子をかくす事は、健太郎にとって失礼な事ではないか!と思いはじめました。そうです。私自身を変えてくれたのは、他の誰でもありません。ダウン症の健太郎です。
 そして、皆さんに私の愛する息子、健太郎を知ってもらいました。正直、何か言われるのではないか。白い目で見られるのではないか。不安はありました。しかし、どちらでもありませんでした。私の肩の力はスーッと軽くなり、世の中って、生きていることって、こんなにも楽しかったんだーっと思いました。
 現在、私はダウン症の健太郎に心から感謝しています。よくこんな小さな私を選んでくれたね。よくこんな小さな私から生まれてきてくれたね。ありがとう、健太郎。これから先、いろいろな悩みやカベが出てきても、私はずっとずっと健太郎の味方です。そう思えるようになりました。
 皆様もいろいろ悩みや不安があるかと思います。なかなか、我が子を受けとめる事ができない方もいらっしゃるかと思います。でも、私達の子どもです。しっかり受けとめてあげてください。そしてこの手紙を読んでいただいたお父様、お母様は私と同じ気持ちだと思います。「我が子のためだったら何でもできますね。どんな事があっても、たとえ地球がひっくりかえっても、私達は、我が子のそばにいます。」     松野明美


第56号 (感話:松野明美さんからのお便り)  我が子を自分が育てていると親は錯覚してしまいますが、子どもとの出遇いで親が育てられることがむしろ多いのではないでしょうか。出遇いはこだまのようなものです。響きあうのです。
 今、大乗(本願寺出版社刊宗門月刊誌)では大平光代さんが「ひかりの中で」を連載しています。内容はダウン症のお子さんの子育て記になっています。大平さんは、松野さんとはまたちがう受け止め方をされています。生後まもなく心臓病の手術で病院に泊まり込んだりしてたいへんな苦労をされたはずなのに、障害や病気が自らの生き方を見直すきっかけになったと述べておられます;
「病院では小さないのちを助けようと、多くの方が親身になって尽くしてくださいました。仕事とはいえ過酷な勤務体制の中でよくあれほど働けるものだと頭が下がります。人は生まれてから死ぬまで、多くの”ひかり”に照らされ、導かれているのだということを改めて感じています。」(大乗2007年4月号)
 普通はすぐにこんな風には受けとめられないものかもしれません。しかし、大平さんにしても松野さんにしても予期しなかったお子さんと出遇う事によって、そうでなかったら決して味わう事のできなかった多くの事を経験し、喜びに変えています。み仏のひかりの中に包まれている生き方を感じます。合掌


境内の草取り

第56号 (感話:松野明美さんからのお便り) 7月25日(土) 託念寺恵以真会婦人部の方々により境内の草取りをしていただきました。雨上がりの早朝6時に集まってきれいにしてしていただきました。


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