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浄土真宗本願寺派 託念寺

第54号 [ 平成21年6月1日 ]

6月の法語  ながく生死をすてはてて 自然の浄土にいたるなれ

第54号  水田の景色が好きです。数年前、栃尾からの帰り道、森立(もったて)峠を越えたことがありました。田植えが済んだばかりの頃で長岡の街が水の中に浮かんで見えました。今もきっとそんなふうに見えるのでしょう。
 前号でBSNラジオで生出演しますと宣伝しました。お相手をしてくださった山田さん(愛称:りんりんさん)に上手に導いてもらって無事終わりました。終わった直後、そしてそれから数日の間、「聞いたよ」と何人もの方に声をかけてもらいました。放送の中で「私と小鳥と鈴と」の歌を無伴奏のソロで歌ったのです。「ショーシねぇかね(ショーシィ:恥ずかしい)」と言われることを心配しましたが、新潟のスタジオにいるアナウンサーが「人はホントにみんなちがっているからいいんですよね」とコメントしてくれ、救われた気がいたしました。およそ7分間、貴重な経験をさせてもらいました。
 この放送で嬉しかったことがもう一つ。山田りんりんさんが「この町は雰囲気が違いますね。今来るとき道でお会いした方にニコニコして挨拶をされました。」と本番前にまずおっしゃいました。番組の中でも言ってくださいました。「ええ、そうですよ。この地域はみんなで子どもたちを、そして人のつながりを大事にしています」と私も答えました。外から来られた人が雰囲気としてそんなことを感じてくれるなんて嬉しいことです。寺での活動もそのことにほんの少しでも貢献できているとすれば喜びです。


うれしいお知らせです  室橋卓郎さんの講演

第54号  今年夏の恵以真大会でアテネ・北京パラリンピック ウィルチェアーラグビー日本代表 室橋卓(たく)郎(お)さんが講演してくださることになりました。
 前島町出身で前川小学校、宮内中学校と地元で成長されました。長岡向陵高校の時ラグビーの部活をしていて頸椎を骨折、以後車いすの生活となりました。パラリンピックに2大会連続出場という輝かしい成績を残された背景にどんな努力や困難があったのでしょうか。競技のことだけでなく、日常生活のことなどもお話しいただけると思います。中学生や高校生も是非とも聞きに来てください。
 日時は8月9日(日)午後3時からの予定です。


感話 小説親鸞のワクワクドキドキ

第54号  以前にも五木寛之著「親鸞」のことを紹介いたしました。新潟日報はじめ地方紙で連載が続いていてすでに260回を超えています。たくさんの名場面があります。毎回欠かさずに読まれている方は今一度共感を、読まれていない方は是非とも単行本として出版される日を楽しみしてもらえるよう、私の感想を綴ってみたいと思います。
 第200回頃から俄然緊迫してきました。まずは法然上人と初めての面会を果たした場面です。法然上人が毎日熱心に通ってくる親鸞さんのことにすでに気づいておられて、この機会を待ちわびていたことが告げられます。思いがけない法然上人のお言葉を受けた親鸞さんの感動が伝わってきます。そして初対面の日に早くも火花が散るような問答が展開されるのです;
 「わたしはたしかに、ただ一度の念仏ですくわれるというておる。しかし、わたし自身は一日に何万回か絶えず念仏をもうしておるのじゃ。そのことを、どう思う」
 「それは、法然上人さまの心に、大きな迷いがあるからでございましょう。その悩み、苦しみが、人の何万倍も大きいからこそ、寝てもさめても念仏なさっておられるのではないでしょうか」
 「わたし自身が長年ふしぎに思うていたことが、そなたのいまの言葉で納得がいったぞ。なるほど、わたしはかつて知恵第一の法然房、などといわれたが、心のなかでは愚痴第一の法然房とひそかに思うておったのじゃ」(第205回3月30日新潟日報より)・・・「 いま自分は、はじめて本当の師とめぐりあったのだ、と範宴(はんねん)(親鸞)は思った。」


第54号  また、親鸞さんの恋の行方も気になります。親鸞さんが強く惹かれていたのは紫野(しの)(のちの恵信尼さん)でしたが、病気になって身を引きます。代わってお世話をした妹鹿野(かの)が親鸞さんに思いを寄せ、ついに「告白」をするのですが、親鸞さんにつれなくされてしまいます。鹿野はやけを起こしてイケメン美声の法然上人高弟に一夜の身を任せ、そのまま行方知れずになるのです。一方で親鸞さんは結果として鹿野の気持ちを思いやれなかったことを羞(は)じ、子どもの頃世話になった日野家の使用人サヨにそのことを打ち明けるのですが、なぐさめられるどころか、「小悪人」の振りをした態度を徹底的に見抜かれ罵倒されるのです。その場面はこんな風に記されています;
「・・若い娘さんに好かれて、そのお世話を受けるなどということは、人の心をもてあそぶようなものです。綽(しゃく)空(くう)(親鸞)さまは、自分は罪業ふかき悪人だ、などと軽々しく反省しなさっておられるようですが、本当のご自分はそれどころではないのではありませんか。ご自分で思っている十倍も、百倍もの大悪人。その自らの怖れが、私には感じられません・・・。」(第219回4月14日新潟日報より)
 ドキッとさせられました。「悪人」的自覚を口にすることによって許されたとするゴマカシを、鋭く指摘しています。「罪(ざい)悪(あく)深(じん)重(じゅう)」も「燃えさかる煩悩」も共に本当は軽々しく口にすることではないのです。
 まだまだ、この先の展開が楽しみです。小説ではありますが、実話のように引き込まれていきます。作家五木寛之さんが現代の眼で描き出すリアリティを感じます。 最後に、この原稿が書けたのは父が根気よく切り抜きを続けてくれているからに他なりません。A3用紙にコピーをしてファイルに綴じてくれています。感謝です。

 写真は今年もいただいた正順寺様(小千谷市片貝町)の花まつりしおりです。


映画の夕べ

第54号  5月31日(日)夕方6時
 この時期にしては少し寒い気温でした。日中曇り空だったのにちょっと前から雨が降り出しました。でも集まっていただきました。50名くらいだったでしょうか。
 最初に「しんじんのうた」のお勤めをしました。
 そして「おくりびと」の上映です。私は昨年10月に見たので、2回目だったのですが、最初の時とはまたちがう感動がありました。連れ合いも同じことを言っておりました。2回目という方が何人かおられたのですが、皆さん同じ感想でした。
 また、一緒に見て感動を共有することがいいのですね。
 「石文」のこと、すてきなやりとりです。
 映画っていいですね。


境内の花

第54号  カルメラという花だそうです。長持ちしますね。
 枝から切って花瓶に挿しておいた花ももう1週間以上もきれいな姿を見せてくれ続けています。


イメージ:ボタン

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